第二期エディー・ジャパンの初陣で、背番号10をつけたのは李承信だった。
国立競技場でおこなわれた6月22日のイングランド戦に先発、後半15分に松田力也と交代するまで「超速ラグビー」のタクトを振った。
最終スコアは17-52と大差で敗れたが、試合序盤は日本代表が掲げる新たなラグビーの一端を見せる。
速いテンポでボールを展開し、李のPGで先制点を奪った(2分)。
試合後、報道陣が囲む形で取材に応じる。「超速ラグビー」の感触を語った。
「速いテンポでのアタックで相手にプレッシャーかけることを意識していて、試合の入りはすごく良いスタートが切れたと思います。でも、前半20分以降や後半の立ち上がりにテリトリーでチームをうまくリードできず、スコアを積み重ねられました。もっと成長しなくてはいけないと思いました」
――自分たちのアタックで敵陣深くに入ることができていた。
「敵陣に入ってからゴール前まで行くプロセス、モメンタムを持ちながらアタックするところは良い手応えがありました。この10日間、自分たちが積み上げてきたものをしっかり発揮できたと思います」
――イングランドはやはりSHからのコンテストキックを多用してきた。
「9番のハイパンとコンテストキックのところ、常に準備してきて、 終始相手にボールが入るところが多くて、そこで自分たちのものにできなかった。自分たちがキャッチしてからそこからのアタックというのをすごい時間かけて準備してきたんですけど、まずはそこのコンテストボールに勝つところが相手にリードされてたんで、そこはもっともっとこう精度高くやっていくべきだなっていうのは思いました。
――試合の序盤はFWの選手を縦に縦に当てていきました。
「ハーフ団としては、もっとボールを動かし続けたかったのですが、相手のフィジカルで強くてブレイクダウンに圧力がかかり、うまくクリーンに出せなかった。相手をキルできなくて、数的優位を作れなかったところも多く、なかなかボール動かせない状況が続きました。アタックのスピード自体は良い形でできていたので、ブレイクダウンでのディテールを積み重ねていければ、もっと成長できると思います」
――PKを得た時にクイックタップで攻めたのはチームとしての決め事なのか。
「セットピースでスローなゲームをしてしまうと、相手が求めているゲームになってしまうので、自分たちはスピードとテンポで上回ろうとしていました」
――あらためて代表の10番を背負ってみて。
「個人としてはそこまで緊張やプレッシャーは感じませんでした。今日はもちろん結果も大事でしたが、100%チャレンジャーという立場でしたし、『超速ラグビー』、『エディー・ジャパン』の初めてのチャレンジだったので、良いモチベーションでできました。良い感触、良い手応えがありましま。もっとこのチームで試合を重ねて、完成度高くやっていきたいと思いました」
――今季のリーグワンのシーズンでは13番での起用が多かった。
「10番で試合に出るのは約1年ぶりでした。長い間10番でプレーすることはなかったですが、神戸で12番、13番、FBとしてプレーできて、ラグビーの考え方やキックスペースの見え方など良い収穫もありました。今日、10番としてもっともっと成長しないといけない部分は多いですが、 スタートとしてはポジティブな面もあったと思います」
――10番はやはり楽しい。
「そうですね。また違った楽しみがあって、その分プレッシャーもありますけど。今は楽しくできています」
――2027年のワールドカップに向けての第一歩という感覚は。
「言い訳ではありませんが、今日の試合は4年間のプロセスを踏んでいく中での最初の10日間だけの準備でにた。超速ラグビーを少しでも体現しようと心がけて、 ゲームの序盤からしっかりテンポを上げて、スペースに対してアタックもできていた。2027年に向けては本当に良いスタートを切れたとは思います」