1996年に創設されたスーパーラグビー(当時はスーパー12)の初代王者であり、過去3度の優勝を誇る名門が、久々に頂点へ返り咲いた。
世界最高峰のアタッキングラグビー、スーパーラグビーパシフィックは6月22日にプレーオフ決勝がおこなわれ、プールマッチ2位通過のブルーズが同4位のチーフスとのNZ勢同士の戦いに41-10で勝利し、優勝を果たした。
断続的に雨が降るコンディションの中、収容人数5万を誇るNZラグビーの聖地・イーデンパークに満員の観客を集めてキックオフを迎えたこの一戦。試合は地元オークランドの大声援を背に受けるブルーズが、序盤から主導権を握って優勢に試合を進めた。
まずは10分、FWが近場を粘り強く攻めてゴールラインに迫り、最後はFLアキラ・イオアネがラックサイドをもぐるようにグラウンディング。SOハリー・プラマーのゴール成功で7-0と先行すると、1PGずつを加えて10-3で迎えた20分過ぎには、FLアキラ、CTBリーコのイオアネ兄弟がタッチライン際で見事にボールをつなぎ、WTBケイリブ・クラークが左コーナーに押さえる。
なおも攻め立てるブルーズは、39分にもSOプラマーが右中間約25メートルのPGを落ち着いて成功。20-3で前半を折り返した。
2チャンスでも追いつけない点差にしたことで伸び伸びとプレーできる状況になったブルーズは、後半さらに強みの攻撃力を押し出してたたみかける。
50分、5メートルスクラムでNO8ホスキンス・ソトゥトゥが左サイドに持ち出し、外から切れ込んだWTBクラークがトライ。さらにクラークは61分にも連続攻撃から左ライン際でロングパスを受けてコーナーに飛び込み、ハットトリックを達成する。
チーフスがようやく反撃に転じたのは65分過ぎだ。相手陣22メートル線内のアタックでSOダミアン・マッケンジーからリターンパスを受けたCTBアントン・レイナートブラウンが鋭くラインブレイク。サポートしたNO8サイモン・パーカーがインゴールへ飛び込む。
しかしブルーズはすぐに勢いを取り戻し、72分にFW、BKが一体となって近場を前に出続け、CTBのAJ・ラムが左中間へなだれ込んでトライ。41-10までスコアを広げると、そのまま残り時間を使い切り、歓喜の瞬間を迎えた。
ブルーズのスーパーラグビー優勝は、HOケヴィン・メアラムやSOカーロス・スペンサー、WTBダグ・ハウレットらを擁し圧倒的な攻撃力でタイトルを勝ち取った2003年シーズン以来、実に21年ぶり(2022年のスーパーラグビートランスタスマンは変則開催のためカウントせず)。チームを指揮するヴァーン・コッターHCにとっては、就任1年目での優勝という快挙になった。