周りも納得の抜擢か。
ラグビー日本代表は、6月22日、東京・国立競技場でのイングランド代表戦で早大2年の矢崎由高を先発させる。グラウンド最後尾にあたるFBの位置に、代表デビューの20歳が立つ。
約9年ぶりに登板のエディー・ジョーンズヘッドコーチは、6月6日からの宮崎合宿で矢崎を練習生として招いていた。
メディアにトレーニングを公開した10日からの3日間、矢崎は、実戦練習で主力候補と見られるグループに絡んでいた。
よく矢崎と一緒になったLOのワーナー・ディアンズ、LO兼FLでやがて主将となるリーチ マイケル、SHの齋藤直人も、イングランド代表戦のスターターに名を連ねることとなる。
10日の時点で取材に応じたジョーンズHCは、「きょう、セレクションについて私が申し上げることはない」としつつ、周りから問われる前に「(ゲームに近い)練習はきょうが初回でしたが、矢崎は非常にいいパフォーマンスをしていた」と述べていた。
20日のメンバー発表後には、こう語った。
「(矢崎がジュニア・ジャパンの一員として臨んだ)パシフィック・チャレンジの試合で非常に素晴らしい選手だとわかった。宮崎合宿ではトレーニングごとに成長していました。矢崎の選出はそれほど難しい判断ではありませんでした。若い選手を抜擢する際は感情面の未熟さが問題に挙がりがちですが、これまでの様子を見るに、矢崎はプレッシャーに耐えうるだろうと感じます」
身長180センチ、体重85キロの好ランナーは、12日、もともと参加していた20歳以下(U20)日本代表との試合形式練習でも多くのプレータイムを得た。この事実は、U20側へも刺激を与えた。
U20日本代表の正SH候補である高木城治は、2月の福岡での代表候補合宿へ矢崎とともに参加。矢崎の台頭が自分たちにどんな影響を与えたかについて、笑いながら話した。
「(事前に)『あいつにだけは…』という話は、少し、ありました。対戦の中で、由高を——ちょっとは(突破を許す機会が)あったんですけど——ディフェンスできた。その部分は、よかったです」
出世街道を歩む当の本人は、「僕がU20から(代表に)上がる、いいプロセスを(踏みたい)」。イングランド代表戦に出られるとしたら、どんなプレーをしたいか。宮崎合宿中に問われ、即答した。
「まぁ、結構、先の話なので、そこまで大きなビジョンを描いてはいないです。ただ出られるチャンスがあると、エディーさんも言ってくれている。もしその機会を掴めたら…。これといった派手なプレーはする必要はない。ひとつひとつのプレーを、細かいことを意識。そしてチャレンジする。(チームのコンセプトである)超速ラグビーでイングランド代表に勝つことに、少しでも貢献できたら」
試合は14時50分、キックオフ。