決戦を2日後に控えているからか。2度目のキャプテンを務めるプレッシャーなのか。
6月20日。イングランド戦のメンバー発表会見に出席した、リーチ マイケルの表情が硬かった。
時折、エディー・ジョーンズHCの顔を覗く。キャプテンとして慎重に言葉を選び、話しているように映った。
夕刻の会見に先立ち、昼過ぎに発表された日本代表のキャプテン就任。2014年から2021年までジャパンの船頭役だったリーチは、赤と白のジャージーのチームを再び率いることになった。
エディーHCはキャプテンを託した理由をこう説明する。
「キャプテンの選考はいつもたくさんのプロセスを経て選んでいます。チームの現状を鑑みた上で、その時々によって必要なキャプテンを適宜選ぶといった形をとっています。前回や前々回のワールドカップに出場した選手が引退したり、先発ではなかったり、今回のスコッドに入っていなかったり、非常に若いチームでもある。経験値の豊富なキャプテンが必要だと感じました。リーチはどこのラグビーの日本の歴史を振り返っても登場するような選手です。フィジカルのコンディションに関しても、現状は問題はありません。ブレイブルーパスでの優勝も経験していることから、経験値も申し分ない」
キャプテンを務めるのはイングランド戦限りなのか、という質問には「できる限りキャプテンを務めてほしい」と答える。
「プレーできる限り、先発で選ばれ続ける限りといった意味です。メンバーの選出というのは一時的なものでもなければ、永久的なものでもない。そうした意味で、できる限りやってほしいと思っています」
エディーHCは宮崎合宿(6月6日〜)が始まった頃にはキャプテンをリーチに託すことを決めていたというが、本人に伝えたのは「先週の頭くらい」(リーチ)だった。
「超速ラグビーで新しいラグビーの革命を起こす。それをエディーさんと一緒にやりたいなと思いました」
「もちろん責任も感じているし、誇りに思う。このチームで勝ちたいという意欲が一番強いので、勝つ準備もしてきたし、試合で勝つ自信もあります」
「スピード、フィットネス、熱さの対策も上回っていると思っている。日本らしい試合がしたい」と続けた。
リーチが唯一、険しい表情を崩したのは、ブレイクダウンが強くディフェンスの堅いイングランド相手に対して「超速ラグビー」をするために鍵になることを問われた時だった。
「それは試合で楽しみにしていてください」と笑顔になった。
「ブレイクダウンで勝てなければ、超速ラグビーはできない。対策はしています。皆さんに新しいラグビー、新しい日本のラグビー(を見せたい)。チャレンジするチャンスです。一生懸命やります」