ここ数年、進歩を実感する。
石田吉平。男子7人制ラグビー日本代表の24歳が言う。
「メンタル(の成長)が大きい。(以前は)1回ミスをしたらパフォーマンスが落ちちゃっていたんですけど、いまは切り替え(ができる)。接戦時の心の余裕も違います」
身長167センチ、体重75キロ。鋭いラン、運動量で光るエース格が、心理的にタフになったと胸を張る。
明大3年だった2021年に臨んだ東京五輪は、12チーム中11位に終わった。「不完全燃焼」だった。自身の出場時間が限られたうえ、当時はウイルス禍とありスタジアムが無観客だったことで消化不良気味だった。
’23年からは立場を変えた。15人制のリーグワン1部に参戦の横浜キヤノンイーグルスへ在籍しながら、今夏のパリ五輪まではセブンズに専念する。
そもそも大学卒業後の進路選択の際、五輪挑戦を後押ししてくれるかどうかを念頭に置いていたのだ。
「いまのところはまだ70パーセントくらい(の状態)。ここからフィットネス、スピードを上げていけたらと思います」
世界サーキットでの転戦で逞しさを身につけながら、大舞台でのメダル獲得を目指す。
置かれた状況で上位国を撃破できるよう、サイモン・エイモーヘッドコーチは今年から戦法を変更。鋭い出足の防御とキックを交えた攻めを磨く。
大観衆にも対処する。
会場が8万人収容のスタッド・ド・フランスとあり、連係のための声がかき消された場合のジェスチャーを用意。好プレーには親指を立て、ピンチの場面では両掌を下に向けて「大丈夫」。失点後に言葉を発する際は固く円陣を組み、「ブレイブ」と叫んで気持ちを切り替える。
「正直、(五輪では)ラグビーあまり期待されてないと思います。その分、全力で行ける。勇気を持って戦って、メダルを獲って、日本選手団のいいスタートを切りたい」
初戦は開会式前の7月24日。全競技、全種目を通じて日本選手団の先陣を切りそうだ。