ラグビーリパブリック

24年春、都内の国公立大決勝は東京学芸大✕東京大に

2024.06.04

準決勝、学芸大HO甲川敏浩が先制トライを奪う


 都内にキャンパスを置く国公立大学大会、2024年度は5月中旬から開催されている。6月2日、準決勝2試合がおこなわれ、昨年度優勝の東京学芸大が一昨年覇権を勝ち取った東京都立大から7トライ奪い52-7と圧勝した。もう1試合は関東大学対抗戦Bで競う東京大と一橋大戦。東大が前半3トライのリードを守り、19-7で決勝へ駒を進めた。学芸大と東大は昨年の準決勝でぶつかり、学芸大が東大を34-12と退けている。決勝戦は6月9日、東大駒場グラウンドで14時キックオフだ。

【学芸大、前半で試合を決めた】

 東京学芸大×東京都立大。6月2日、試合開始前、13時すぎから雨が降り続く。お互いに部員不足に悩む両校。学芸大は1年生6名が入部も学外での集中授業のため、部員数名が参加できない。リザーブ1名の16名で臨んだ。試合前のミーティングでは、学芸大FW第一列にケガ人が出た場合のスクラムのノーコンテストなども話し合われていた。都立大は23名をそろえてきたが、こちらも高校ラグビー未経験者を加えていた。

 14時30分キックオフ。先制は学芸大。5分に敵陣スクラム起点の攻撃からつなぎ、HO甲川敬浩(2年、都武蔵)が最初のファイブポインターになる。コンバージョン(G)は大学院に進んだ好キッカーFB岡田喬一(M1年、桐蔭学園)が確実に蹴り込む。5分後にはPKを得て岡田がPGを選択し3点を追加、10-0に。

 対する都立大は学芸大エリアに入れない。自陣からキックでエリアをとるもすぐに岡田やSO佐々木幹太(2年、秋田中央)のロングキックで自陣へ戻される。「学芸のキックにやられてしまった」。都立大NO8中原亮太主将(4年、湘南)が認める。学芸大はキック後のチェイスも素早く、都立大ボールキャリアーに迫りからんでいく。都立大が得意とするラインアウトモールもこの日は封じられた。投入ミスもあったが、学芸大がモール形成に加わらない。人数の関係で学芸大が絡んだ後にオブストラクションの反則を数回、取られた。

都立大の生命線ラインアウトモールに学芸大は付き合わない

 22分、都立大の反則でアドバンテージを得ると、SO佐々木がDGを蹴り込む。これは外れるが岡田が2本目のPGを成功。4分後には敵陣スクラムを起点にピック&ゴーでゴール前へ迫り、最後はアウトサイドCTB片岡正太(3年、青山)が仕留める。さらに33分、左ラインアウトから右へ継続し、1年生期待のルーキー、インサイドCTB木村粋雅(きよまさ、桐蔭学園)が公式戦初トライを決めた。FB岡田のGで27-0と大差をつける。終了前の41分にはゴール前左中間スクラムのボールをSH北澤陽斗主将(3年、茗溪学園)が持ち出し、右隅へ飛び込んだ。32-0とし、前半で試合の行方は決まった。

 後半も5分にFB岡田のPGで追加すると、CTB木村の2本目のトライなど3トライ奪い52-0とする。34分、都立大はようやく学芸大陣へ入る。スクラムを得てサインプレーで切り込んだCTB萩原唯斗(2年、國學院久我山)が5点を返した。GはFB大森拓実(2年、都日野台)が成功。後半、都立大は後半だけでPKを10回取られ、敗因につながった。試合は52-7で終えた。

都立大、最初の得点は後半34分、CTB萩原唯斗のランまで待つことに

 岩本悠希・学芸大監督は「ラインアウト対策など選手たちが自分たちで考えてきた。2年前のリベンジができました。東大戦は変わらず自分たちのラグビーを続けます」。

【東大は前半のリードを守り、一橋大を制す】

※試合経過データ提供:東京大ラグビー部

スイカジャージお馴染みの東大がゲインを切る(写真提供:東京大ラグビー部)

 こちらも一橋大グラウンドで雨中の一戦。東京大が前半7分、ラインアウトモールから反則を得ると、ピック&ゴーで進みNO8清和悠芽(4年、大宮)が先制トライを奪った(5-0)。その後も東大がキックでエリアを取りながら有利に進めたが、ミスで得点機を逸した。25分、一橋大陣22メートル線のスクラムを得る。SO桑田昂(4年、日比谷)が抜け出す。ゴール前へ迫ると最後はNO8清和が連続のファイブポインターになった。Gは成功。38分は一橋大のハンドリングエラーからこぼれたボールをFL礒崎竜之介(4年、本郷)が拾う。そのままインゴールへ運んだ。G成功し19-0でハーフタイムに。

 関東大学対抗戦Bで競い合う両校。昨年は9月24日に戦い東大が17-7で接戦を制した。’22年度は一橋大が10月9日、14-12と僅差で勝利。今回も同じ展開となった。

 後半は一橋大が東大陣へ入る。9分、バックスで数的有利な状況を作るとようやくトライラインを越えた。その後、東大がスクラムで3本のペナルティーを奪うなどディフェンスでしのぎ切り、19-7でフルタイムを迎えた。

 東大FB吉村寿太郎主将(4年、駒場東邦)は「一橋戦、前半19-0、後半0-7で勝てたことは自信になる。後半の失速した部分を修正して、学芸大に対しては、自分達のラグビーに立ち返り一瞬一瞬の勝負にこだわり、結果的に勝っているようなゲームにします。東大は国公立大会でしばらく優勝していないので、まず春シーズンに一つ結果を出したい」と感想を寄せた。

【2回戦は都立大、東大が勝利】

 5月26日は2回戦2試合をおこなった。東京都立大と東京海洋大が対戦、都立大が7トライ45-19で大勝した。

 前半は都立大21-19海洋大と2点差だった。海洋大1年生WTB佐伯龍一(筑紫丘)が前半、魅せた。6分にスクラムから継続したボールをもらいトライを奪う。3分後、都立大がラインアウトモールを押し込み最後はCTB新山昂生(こうき、3年、國學院久我山)が仕留める。21分、都立大主将NO8中原亮太(4年、湘南)がゴール前スクラムから8単で追加点を奪う(14-7)。27分、海洋大が敵陣深く侵入するとSO三日月一志主将(4年、長崎北)が絶妙なキックパスを右へ蹴り込む。佐伯はキャッチしてインゴールへ持ち込むだけだった。14-14の同点になる。

 32分、都立大がスクラム起点の攻撃で左PRオリモブ・ムハマドオリム(3年、日大藤沢)がゴールライン寸前へ。HO岡元隆太(3年、小山台)が仕留めた(21-14)。が、またも海洋大佐伯が38分に右隅へダイブ。公式戦デビューをハットトリックで飾った。Gは失敗し21-19となった。

2回戦、都立大PRオリモブ・ムハマドオリムがゴールラインへ。3トライ目につなげた

 後半は都立大がスクラム、ラインアウトで優位に立ち続け4トライを加える一方、海洋大に得点を与えず45-19で退けた。

 敗れた海洋大は1回戦、東京外国語大が相手の棄権で不戦勝となっていた。鶴留洋一監督は「(春はバックスの展開など)フィールドプレーに集中してきた。セットプレーはまだまだでした」。秋は主戦場の関東大学リーグ戦5部で外語大とともに上位を狙う。

 もう1試合。東京大は昨年、関東大学リーグ戦3部で2位と躍進、2部との入替戦に出場した東京工業大をホームに迎えた。

 東大が前半、WTB武村晋(2年、灘)の2トライなど4トライを奪う、Gも4本すべてFB吉村寿太郎主将(4年、駒場東邦)が成功した。東工大は前後半1本ずつインゴールへ運ぶも、28-14で東大が勝ち切った。

東大は前半4トライを決めて東工大を破った(写真提供:東京大ラグビー部)
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