朴訥とした話し方から人柄が伝わってくる。
トッププレーヤーとしての人生を終えてから、まだ数日。額にはラストゲームで負った傷があった。縫った糸がそのまま残っていた。
スポーツライターの藤島大さんがパーソナリティを務めるラグビー情報番組「藤島大の楕円球にみる夢」が、6月3日(月)夜6時からラジオNIKKEI第1で放送される。
ゲストは細田佳也さん。NECグリーンロケッツ東葛で現役生活を終えたばかりだ。
2011年に同チームに加入以来、リーグワン2023-24シーズンまで社員選手としてプレーを続けた36歳。192センチ、103キロとサイズにも恵まれ、日本代表、セブンズ日本代表、そしてサンウルブズと、さまざまな舞台でバックローとして活躍してきた。
楕円球を追い始めて29年。最後の試合は2024年5月25日(土)に相模原ギオンスタジアムで行なわれたリーグワン、ディビジョン1と2の入替戦、リコーブラックラムズ東京との一戦だった。
細田はその試合に6番のジャージーを着て出場し、80分、フル出場を果たした。いつものように、しぶとくプレー。その姿についてチームメートは、「最後までタックルした」と評した。
チームは5月10日、細田が今季限りで引退することを発表していた。その中で先発の座を掴んだ時の心境、0-55と完敗した試合を終えた時の心の動き、引退を決意した理由を話す。
長野県飯田市出身。1987(昭和62)年8月5日に生まれた。
飯田市立上郷(かみさと)小の2年生時、上郷ラグビースクールに入った。友人らとバスケットボールを楽しもうと考えていたが、両親から人と違うスポーツを勧められたのがきっかけだった。
中学ではラグビースクールでプレーを続けながら陸上部にも所属した。
同部では三種競技(100メートル走、砲丸投げ、走り高跳び)に取り組み、100メートル走のベストタイムは11秒8。当時から180センチ台後半の身長だったというから、身体能力の高さが伝わる。
しかし、のちの日本代表FWは、パワーが問われる砲丸投げは不得手だったという。
伝統的に部のことを「班」と呼ぶ飯田高校に入学し、ラグビー班に入った。3年時にはキャプテンを務めた。しかし、花園予選の準決勝で長野高校との進学校対決に敗れ、目指していた舞台には立てなかった。
卒業後は体育教師を目指して大学進学を志すも、1年の浪人生活を経ることになる。
日本大学での4年間を経てNECに入社。当時トップリーグの舞台で戦っていたグリーンロケッツ(現・NECグリーンロケッツ東募)に、田村優(現・横浜キヤノンイーグルス)らとともに加わった。
同期・田村と過ごした時間や、新入社員時代の話も楽しい。
2014年、セブンズ日本代表に招集された後、2016年には日本代表(15人制)にも選出された(2キャップ)。同年からスーパーラグビーに参戦したサンウルブズのメンバーにも選ばれて世界の舞台に出た。
日本代表での初めてのテストマッチは敵地でのカナダ代表戦。その試合でレッドカードを提示され、退場となった際の衝撃、細身ながら長く活躍できた理由も語る。
引退後は一度ラグビーを離れ、会社員生活に戻る。その決断にも実直さが浮かぶ。
▽ラジオ番組について
ラジオNIKKEI第1で6月3日の夜6時から全国へ放送。radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。U-NEXTでも配信予定。6月10日の同時刻には再放送がある。