5月19日から6月1日の期間でニュージーランド遠征していたU20(20歳以下)日本代表候補(以下、U20 Japan)は、クライストチャーチでNZ Universities (以下、NZU)と2度対戦しラグビー王国の洗礼を受けた。
※NZ Universities は、NZ全国各地にあるユニバーシティーと言う名前のクラブチームの選抜メンバー。
初戦は5月25日、クルセイダーズ×ブルーズの前座試合としておこなわれた。
序盤、U20 Japan が鋭い攻撃でトライを重ねて有利に進めた。しかし、優勢だったのは序盤だけだった。
その後は、フィジカルとスキルの差を見せつけられ、NZUにボールを保持されると、一気にトライラインまで持っていかれた。タックルの甘さが目立ち、10トライを献上。結果は、38-66と大差で敗れた。
攻撃は通用していただけに、ボール支配率とディフェンスの課題が明確になった。
2戦目は5月30日。場所をカンタベリー大学に移して午後2時のキックオフで行われた。平日ながらも観戦者がピッチをぐるりと囲んだ。その中には、日本人の姿も見られた。
初戦で大差をつけられただけに、どこまで修正してくるか注目された。
しかし開始早々、スクラムからNZU の12番に簡単に突破されてそのままトライを奪われる(0-7)。フィジカルで苦戦の立ち上がりに不安がよぎった。
会場がどよめいたのは、U20 Japan の左PR、大塚壮二郎のビッグタックルがNZUに突き刺さったときだった。そのタックルでチームの意識が変わったのが感じられた。
U20 Japanが敵陣深い位置でのラインアウトからチャンスを掴んだ。モールを押し込み、相手の反則を誘っう。レフリーの判定はペナルティトライ。7-7の同点に追いついた(8分)。
12分にNZUにトライを奪われるも、17分には、U20 Japanがラインアウトから攻めた。WTB飯岡建人がスピードとキレのあるステップを見せ、個人技でトライを返した。(12-12/17分)
スクラム、ラインアウトのセットピースで勢いを作ったU20 Japan。徐々に攻撃のテンポが良くなり、フィジカルバトルにも対抗できるようになった。
25分に1トライを追加。U20 Japanが19-12とリードして前半を終えた。
後半に入りNZUは、よりフィジカルバトルにこだわる。FWが近場で手堅く前に出る戦術に変えてきた。
ディフェンスを下げられながらもしつこくタックルをしたU20 Japanは耐えた。しかし、自陣22メートルからのタッチキックがノータッチとなる。そこからNZUにカウンターアタックで一気にトライラインまで持っていかれた。
19-19の同点に追いつかれる(43分)。前半に続き、立ち上がりに課題を残した。
ディフェンスでは課題を残すも、攻撃はしっかり通用していたU20 Japanは、敵陣10メートルのスクラムから絶妙なサインプレーでSO伊藤利江人がビックゲイン。伊藤からオフロードパスを貰ったWTB飯岡建人がこの日2つ目のトライを挙げて逆転した(24-19/47分)。
ここから上昇したかったU20 Japan。しかし勢いを増したのはNZUだった。
疲れが見えだしたU20 Japanに対してパワーランナーが積極的にボールキャリーで突破を試みる。U20 Japanが徐々に対応しきれなくなると58分にトライを奪った。その後もフィジカル面で上回り、2連続トライを奪う(69分、73分)、40-24と大きくリードを広げて試合を決めた。
U20 Japanが76分にトライを返すも、NZUは試合終了間際にPGを加え、ファイナルスコアは43-31。NZUの連勝となった。
NZ遠征を2連敗で終えたU20 Japanは安定したセットピースを武器に、攻撃では十分通用するところを見せた。
後半こそNZUが修正するも、前半はU20 Japanがスクラムでプレッシャーをかけ、反則を多く誘った。ラインアウトからのモール攻撃も十分に通用し、常に相手にプレッシャーをかけた。
2試合共通してフィジカル面での劣勢が試合に大きく影響した。 それでも、1戦目から中4日でここまで修正できたことは明るい材料と言えるかもしれない。
試合終了後は遠征の最終戦ということもあり、ピッチの上で両チームの選手が会話を交わす光景がたくさん見られた。ジャージ交換もおこなわれ、笑顔がたくさん見られた。
U20 Japanは7月、スコットランドで開催されるワールドラグビー・U20 トロフィー2024に参加する。今回の遠征で得たものを活かし、ほしい結果を手にしたい。