準決勝に続いて、今季2度目の背番号13を付ける。
5月26日(日)、東芝ブレイブルーパス東京は、国立競技場で埼玉パナソニックワイルドナイツとリーグワン決勝を戦う。その試合でミッドフィールドに立つのがマイケル・コリンズだ。
今季加わったばかりの29歳が大役を任されたのは、気の利いたプレーを評価されてのものだ。
東京サントリーサンゴリアスを28-20で下した準決勝では80分間ピッチに立ち続けた。チャンスメイク、好ディフェンスなど、勝利に大きく貢献した。
プレーオフトーナメントの準決勝を含め、今季は9試合に出場。CTB、WTB、FBでプレーした(5試合に先発)。
第13節のコベルコ神戸スティーラーズ戦、第15節の東京サントリーサンゴリアス戦では2トライずつを挙げた。計5トライを記録している。
プレーオフが始まる前、「完璧なコンディション」と表情が明るかった。
その言葉を裏付けるように、プレーぶりからも体のキレが伝わってくる。
オスプリーズ(ウエールズ/ユナイテッド・ラグビーチャンピオンシップ))から加わったニュージーランダーは、ユーティリティープレーヤーとしての器用さだけでなく、順応力も高い。
高校時代はオタゴボーイズで活躍。NZ高校代表に選ばれ、卒業してすぐ、2012年にオタゴ代表としてデビューした。2020年シーズンまでプレーし、17トライを記録している。
クリケットの才能も高く、U19までオタゴ州の各年代代表に名を連ねた。
スーパーラグビーのブルーズ、ハイランダーズでもプレーしたほか、祖父がウエールズのスラネスリーで生まれた縁もあり、2015-16シーズンにスカーレッツ(当時プロ12)で過ごす。
オスプリーズには2021年から2シーズン所属し、活躍した。
違うラグビースタイル、異文化の中に身を置いたことが、自身を成長させたと話す。
「ウエールズはセットプレー重視でキックも多く使い、ウエットな気候も多かった。日本は、スピードがありスキルも高い。ニュージーランドは、それらをミックスした感じです」
どの国でも、どのチームでも大切にしているのは、自分の強みを、その環境下で発揮することだ。
その対応力は、先発、ベンチスタートと、起用法がどうであろうと発揮される。
「ボールを持ってどんどん走り、抜くタイプの選手もいますが、私はそうではありません。周囲の選手を助け、オーガナイズします。その局面で何をすべきか見極めることが得意です」
ブレイブルーパスでも、それは変わらない。
「自分のスキル、ワークレートを、先発でも途中出場でも出せるようにしにいといけない。そのためにも、ボールタッチを増やすようにしています」
チームに加わった初年度から貢献できている理由を、「指導陣のコーチングと、チームの明確なストラクチャーのお陰です。そして、それらを試合メンバー、ノンメンバーの全員が理解しているのでプレーしやすい」
全員が達成したいゴールを共有しているのも、今季の強さにつながっていると言う。
「自分たちのスタイルを出せば、相手がどこでも勝てる。そんな自信を(レギュラーシーズンの)16試合で積み重ねてきたように感じます」
プレーオフトーナメントが始まる前、トップチーム同士の争いを勝ち切る条件を口にした。
「強いチームはミスをしない。だからこれからの試合では、トライをできそうなチャンスは1試合の中で3、4回だけでしょう。それをしっかりと掴むチームが強いし、勝つ」
状況判断に長けた自分の力の見せ所でもある。
ナイスガイ。日本語の上達がはやいのは、この国を気に入っていることが大きい。
チームから提供される語学プログラムだけでなくチームメートに積極的に話しかけ、学ぶ。独学にも積極的だ。
「新しい国で暮らすのは、多少なりともストレスがあるものです。同じ英語圏のウエールズでもそうなのですから。ここでも最初は言葉や食べ物の違い、それに漢字と、戸惑いました。でもすぐに慣れ、日本を好きになりました」
日本を訪れた家族や友人も、「すごく気に入ってくれる」と笑う。
人懐っこいところも、チームに溶け込み、活躍できている理由のひとつだ。
頂点に立ち、仲間と歓喜の輪を作りたい。
そんなシーンと出会うのも、いろんな場所、チームでプレーを続ける理由のひとつだ。