ラグビーリパブリック

ブレイブルーパス原田衛が感じた、リッチー・モウンガの存在感。

2024.05.19

リーチの離脱時はゲームキャプテンも務めた(筆者撮影)



 今季のリーグワン1部にあって、もっとも爪痕を残した国内選手のひとりだろう。

 原田衛は、東芝ブレイブルーパス東京の25歳だ。サイズは身長175センチ、体重101キロ。兵庫の伊丹ラグビースクール、神奈川の桐蔭学園中、高、さらには慶大を経て、’22年に加わっている。

 最前列中央のHOとして、木村星南、小鍜治悠太の両PRのフィーリングを最適化してスクラムをコントロール。流れが動き出せば強烈なタックル、ギャップをえぐる走りで光る。

 2月には福岡で「15人制男子トレーニングスコッド合宿」に参加。エディー・ジョーンズ新ヘッドコーチ率いる日本代表への初選出も待たれる。

「チャンスはそんなにないと思うので、優勝まで持っていければいいかなと。絶対に、(王座を)獲りに行かないといけない」

 本人がこう言葉を選んだのは5月8日。府中市内での公開練習後のことだ。

 チームはレギュラーシーズンで1部の12チーム中2位となり、2シーズンぶりにプレーオフに出られることとなった。

 一昨季に4強となった際は入部して間もなかったとあり、実際の舞台に立つことはなかった。ただし、今季は副将として期待される。

 日本代表として4度のワールドカップに出てきたNO8のリーチ マイケル主将に「セットプレーもフィールドも強い。ヨーロッパでも通じる」と讃えられる戦士は、17日、19日の準決勝での先発入りを発表。今季の直接対決で2連勝中の、東京サントリーサンゴリアスとぶつかる。

 メンバーアナウンスを受けてのオンライン取材では、準備への手応えを口にした。

 ここにきて、選手主体でトレーニングができているというのだ。リーチ、新加入でSOのリッチー・モウンガの名を挙げて述べる。

「コーチ陣も僕たちのことを信頼してくれて…。僕じゃなく、リーチさん、リッチーさんがチームをドライブしていってくれています」

 ニュージーランド代表として昨秋のワールドカップで準優勝したモウンガは、母国のクルセイダーズの一員として国際リーグのスーパーラグビーで7連覇を果たしたことがある。

 熟練者の一挙手一投足に、原田は背中を押されている。

「リッチーは『気負い過ぎないように』というニュアンスで僕らに声をかけてくれている。クルセイダーズでプレーオフを経験している選手がどういったメンタルでどういった行動をするのか、学びになりました。あまり、緊張しすぎなくてもいいのかな…ということが、僕のなかにあります」

 幼少期からブレイブルーパスのファンだった。このクラブは一時、低迷していたとあり、「僕が(学生時代にブレイブルーパスから)誘われていた頃は、見るのが嫌になるぐらい負けていた。正直、こんなに強くなっているのはびっくりで…」としみじみと語る。

 入部時、自分でこのチームを強豪にしようと考えたわけではなかったのか。そう問われると…。

「そう言ったら、かっこいいのかもしれませんが…」

 強いブレイブルーパスの強い選手は、朴訥とした受け答えで聞き手を笑わせていた。

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