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【サニックスワールドラグビーユース交流大会2024】1位〜4位トーナメントに大阪桐蔭、桐蔭学園が進出。NZと豪州の強豪に挑む

2024.05.01

実に得点を重ねた桐蔭学園が御所実を下した。(撮影/松本かおり)



 肌寒い一日だった。雨も降った。それでも選手たちは元気。好ゲームと好プレーがいくつもあった。

 5月1日(水)『サニックスワールドラグビーユース交流大会2024』の3日目がおこなわれ、プールステージが終了した。
 5月3日(金)からは順位決定トーナメントが始まる。

 頂点が争われる1位〜4位決定トーナメントには、3日目にジェングオ ハイスクール(台湾)を39-3で破ったセント オーガスティンズ カレッジ(オーストラリア)と、ジェスイット ハイスクールを73-0と一蹴したサウスランド ボーイズ ハイスクール(NZ)に加え、大阪桐蔭と桐蔭学園が進出した。

 大阪桐蔭はこの日、大分東明に27-7と勝利してプールステージを全勝で終えた。
 6分過ぎに先制トライを挙げたものの、前半は12-7と競る展開。しかし、後半にPGで加点した後、2 トライを追加して差を開いた。

大阪桐蔭(左)×大分東明。(撮影/松本かおり)

 桐蔭学園は30-14のスコアで御所実に勝ち、こちらも3勝目。プールBの1位となった。
 先制トライを許した桐蔭学園は、前半13分に7-7と追いつく。前半を12-7とリードした。
 後半は4分にトライを挙げてリードを広げ、最終的に1T2PGを追加した。

 1位〜4位トーナメントの準決勝では、次の2試合がおこなわれる。
◆サウスランド ボーイズ ハイスクール
◆セント オーガスティンズ カレッジ×桐蔭学園

 大会3日目は、日本勢同士の対戦が熱かった。
 プールCの2位争い、石見智翠館×東海大相模は、前半に22点を奪った東海大相模が逃げ切った。ファイナルスコアは22-20だった。

 勝者は前半、キックのバリエーションも多く、うまくエリアを取った。先制点もキックで敵陣深くに入った後に奪う。
 PGで5-3と迫られても、落ち着いてゲームを進めた。

 得意のモールが威力を発揮したのは11分。FWが力強く前に出て、FL田所壮心がインゴールにボールを置く。14分にはNO8藤久保陸のディフェンス突破を活かし、HO金澤壱樹がトライを奪った。
 24分にはターンオーバーから素早く切り替え、WTB福岡遼がキックを巧みに使い、仕留めた。22-0としてハーフタイムに入った。

 後半に入り、石見智翠館も本来の力を発揮する。4分にWTB久住誓蓮が好ステップでトライを奪うとチームに勢いが出た。
 NO8祝原久温がビッグゲインしたのは16分。その攻撃を継続してトライを追加。祝原は試合終了間際にもスクラムからトライを奪うも、2点差に泣いた。

 全国高校選抜で準優勝だった石見智翠館は、今大会2敗目でプールCの3位となった。
 出村知也監督は、「智翠館らしい、ボールを動かすラグビーをしたかった。しかし雨。その影響もあったと思いますが、それは昨日から分かっていたこと。修正して戦おうと話していたのに、相模さんのブレイクダウンの強さやディフェンスの圧力を受けてしまった」と振り返った。

「選抜準優勝は自信になっているが過信している選手は一人もいない」と話す同監督は、「決勝で大差で負けたこともあり、自分たちに力が足りないと分かっています。練習への取り組みも変わりました」と続けた。

 試合を重ねる中で得るものを積み重ねていくことが重要だ。
「自分たちの強みをどう出すのか、相手の強みをどう消すのか、そういった力を身につけてほしい」と、この先の成長に期待を寄せる。

東海大相模は前に出る圧力で石見智翠館に競り勝った。(撮影/松本かおり)

 國學院栃木×東福岡は7-7と引き分けた。両校ともプールDで1勝1敗1引き分けだったものの、勝ち点の差で東福岡が、各プール2位で争う5位〜8位決定トーナメントに進むことになった。

 東福岡は前半17分、相手の反則を誘い、PKで敵陣へ入った。ラインアウト後のモールを押し込んで先制トライ。コンバージョンキックも決めて7-0とした。
 果敢に攻めて何度もチャンスを作った。しかし、雨でハンドリングエラーも多く、なかなか仕留められない。ただ、粘り強い防御は安定していた。

 國學院栃木のトライは前半終了間際に生まれた。
 攻撃を継続したことで生まれたオーバーラップ状態を逃さずアウトサイドを突破して敵陣に攻め込んだ。
 相手の反則で得たPKから速攻。最後はNO8金子敬亮がボールをゴールポスト下にねじ込んだ。

 7-7で始まった後半、長く攻めたのは東福岡だった。
 ディフェンダー間の幅をしっかり守りながらディフェンスする相手に苦しみながらも、相手ゴール前でトライ寸前まで行くこと2度。どうしても攻め切ることができなかったが、辛抱強さが伝わってきた。

 終盤に力を振り絞って國學院栃木も攻め込んだ。
 試合終了間際にはPG機を得て勝利に迫るも、それは惜しくも外れてタイスコアのままフルタイムの笛が吹かれた。

 死闘を終えた東福岡の藤田雄一郎監督は、円陣の中で選手たちに「負けないことが大事。そうやって強くなっていく」と話し、健闘を称えた。
「(選抜で1回戦負けを喫した日)3・23を忘れることなく、前へ進んでいきます」

互いに成長できた一戦。東福岡×國學院栃木。(撮影/松本かおり)

 國學院栃木の吉岡航太郎監督は、「最初から1、2点差の試合になると思っていました。東福岡さん相手にこれだけやれた、という気持ちもありますが、本人たちは勝つ気でいたので、手応えと悔しさが半々だと思います」と話した。

 連日ハードなゲームを戦っている。同監督はケガの可能性も心配していたけれど、それ以上に、「海外のチームも含め、いろんな相手と戦うことで得られる経験値の大きさを感じています」と、選手たちの成長を認める。
 ベースにあるのはチームの伝統でもあるディフェンス。しかし、全国選抜以降は攻撃にも注力して総合力を高めている。今大会の残り試合で、それを発揮する。

 プールAのトルロカレッジ(イングランド)×ウイントフック ジムナジウム(ナミビア)は22-10。両チームの闘志むき出しの攻防が印象的だった。

 前半4分、最終的に勝者となるトルロカレッジがPGで3点を先行するも、その後、ハーフタイムまでの時間を優位に進めたのはウイントフック ジムナジウムだった。あの手この手で敵陣に入り、6分にはモールでトライを挙げた。
 コンバージョンキックも決まり、7-3とリードを奪ってハーフタイムに入った。

 後半は地力で上回る相手に3トライを奪われて突き放されるも、後半18分にはPGで17-10とするなど粘った。
 スタンドからは大きな声援が飛んだ。

魂がぶつかり合った一戦は、トルロカレッジがウイントフック ジムナジウムを破り、今大会初勝利。(撮影/松本かおり)

 ナミビアからの大会初出場となった同校は、ラグビーに注力している高校だ。
 2500人の生徒がいる大規模校。7歳から18歳までの各グレードに3チームずつほど部員がいる。同国の高校ラグビーは最上位グルーブから3段階まで、それぞれ8校、10校、10校のチームで構成されており、その中の最上位カテゴリーの中で2連覇中という実力を持つ。

 試合後のNO8ルアン・アゲンバッグ主将は、「きょうは勝つプランを持って戦ったけれど、雨でうまくいかなかった。それも人生の一部」と話し、悔しそうだった。
「海外のチームと戦うのは、滅多にない機会。いい経験を積めています」

 プールBのマハトマ ガンジー メモリアル スクール(フィジー)は、韓国のチュンブク ハイスクールから13トライを奪い、83-0で今大会初勝利を挙げた。
 賑やかな応援の声の中で躍動した。

 敗れたチュンブク ハイスクールのLOチェ・ジェヒョク主将は、「点差がついてしまいましたが、最善を尽くした」とうなだれることはなかった。
「1年生が多く、3年生が少ないチームです。いま、経験を積んでいるチーム。残りの試合でもベストを尽くします」と決意を口にした。

主将を中心に必死に戦ったチュンブク ハイスクールだったが、マハトマ ガンジー メモリアル スクールのランを止めきれなかった。(撮影/松本かおり)


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