期待されている証だろう。
大学選手権3連覇中の帝京大ラグビー部で新4年の小村真也は、4月25日、ジャパンタレントスコッドの初回活動に参加。日本代表のエディー・ジョーンズ新ヘッドコーチらが有望な大学生を鍛えるプロジェクトの第1期生となった。
ちょうど怪我の治療中とあり、明大八幡山グラウンドでのトレーニングセッションでは別メニュー調整。競技復帰を6月頃としながら、計14名という若年層世代の筆頭格と見なされているのだ。
実は、2月に福岡で合宿をした日本代表のトレーニングスコッドにもリストアップされていたという。
「選んでもらってうれしいですけど、まだまだ課題はいっぱいある。それをクリアしていって、代表に選んでいただけると思っていきたいと思います」
身長179センチ、体重80キロ。スペースへ鋭く放つキックとバスケット経験で磨いたハイパントキャッチを長所とする。帝京大ではおもに、端側のWTBで働いてきた。
もともとは司令塔のSO、最後尾のFBが主戦場だ。今回あったジョーンズヘッドコーチとの個人面談でも、それに即して宿題をもらったという。
「(SOやFBと)違うポジションでプレーする時も、ゲームの流れ、ゲームをコントロールすることを考えながら動こう。あとは、(普段から)試合をいっぱい見よう」
攻めを引っ張る働き場に入りたい。かねて「自分で(目の前の防御に)勝負するのは得意」だが、自ら「勝負」せずともチームに勢いをもたらしたり、望む位置で戦えたりするよう知識を増やしたい。
ロールモデルに挙がるのは、元オーストラリア代表で現花園近鉄ライナーズのクウェイド・クーパー、元ニュージーランド代表のダン・カーターだ。
鋭い走り、パスに加え、死角をえぐるキックでのエリア獲得にも定評のあるふたりのことは、少年時代からヒーローだと思ってきた。
「自分でも勝負しながら、ゲームのコントロールもできる選手になりたいです」
10代後半でニュージーランドのハミルトンボーイズ高へ留学した。
さかのぼって大阪の菫中3年時には、大阪府中学校代表として全国ジュニア・ラグビーフットボール大会を制覇している。その舞台でしのぎを削った神奈川県ラグビースクール代表には、現早大主将の佐藤健次がいた。佐藤は2月のトレーニングスコッド、この春のタレントスコッドにも名を連ねている。
佐藤の桐蔭学園高時代の同級生である青木恵斗は、帝京大の新主将である。こちらも、件のふたつのスコッドにピップアップされている。
青木のいる帝京大でBKリーダーとなった小村はいま、友人と切磋琢磨している。
「試合したことがある選手と同じチーム、それも日本代表でできるとしたら、嬉しいですね」
この国のラグビー界に新しい黄金世代を築けるか。