4月28日、夏の日差しが照りつける中、東京都高校春季大会3回戦がおこなわれた。明治学院東村山高グラウンドでは明学東村山が伝統校の東京を迎え、グリーンのジャージをまとった明学東村山が躍動。執拗なディフェンスでフィジカルに勝る相手の攻撃をしのぐと、自陣からフェーズを重ねてトライを取り切り、38-24(前半17-17)で快勝して8強入りを果たした。かつては部員不足に苦しんだこともある明学東村山が東京を破るのは史上初だった。
試合開始早々、東京がチャンスをつかみ、ラインアウトから明学東村山陣22メートル線内側へ入ったが、倒れ込みで逸した。その後も東京が優位に進めるも、明学東村山は刺さるタックルで耐える。そして15分頃、敵陣22メートル内側の中央スクラムから左へ展開し、先制トライを左中間へ仕留めた。FB本多晃太朗のコンバージョン成功で7-0。
東京もあわてずラインアウトモールで前進すると、主将NO8齊藤源輝がポスト左にトライ。20分すぎにもスクラムから前進し、右中間へねじ込む。さらにそのリスタート後、今度は自陣から継続し、PR小山虎輝が3本目のトライを奪った。これで17-7とリードする。
前半残り5分、明学東村山が左ラインアウトを得る。サインプレーでディフェンスを崩しトライ、14-17とすると、ハーフタイム直前にもFB本多がPGを決め、17-17の同点に追いついて折り返した。
後半、勢いは明学東村山に傾く。2分、中盤右ラインアウトからフェーズを重ねて東京ゴールラインに迫ると、CTB荒井祐颯がダイブして勝ち越した(24-17)。8分にはBK のつなぎからFW山﨑寛人がインゴール中央に押さえ、31-17と差を広げる。
その後、東京が反撃に転じ相手陣へ攻め込んだが、「東村山はディフェンスのチーム、しっかりできた」というPR鈴木覚副将の言葉通り、明学東村山もディフェンスで対抗。その素早い出足と絡みの前に、東京はノックオンなどハンドリングミスを続ける。24分、ようやくPKからの速攻でFB小川廉人が左タッチライン際を快走しトライ、Gも決まって7点差と詰め寄った。
しかし明学東村山もここでふんばり、28分に敵陣スクラムから走り込んだFB本多が試合を決定づけるトライをマーク。38-24と東京を突き放し、勝利を手にした。
終了のホイッスルが鳴る。勝った明学東村山は部史上初の快挙を素直に喜ぶ。OBや応援の家族もハイタッチをかわしていた。
一方の敗れた東京。グラウンドにいたラグビー関係者はこう話す。「勝てば準々決勝で対戦する予定の早稲田実業が隣で準備していた。自分たちの試合中も早実が気になるのか、東京の選手が見ていた」。目の前の敵を見ていなかった。
東村山のSO中村海惺主将は、「早実には新人大会で負けました(12-29)。因縁があります」とリベンジに挑む。
<早稲田実業は19トライで128-0と都石神井高に完封勝利>
2試合目は昨冬の花園出場校、早稲田実業に都石神井が挑んだ。開始早々、早実はラインアウトから石神井ゴール前に入ると、ラックからパスを受けたSO中山大翔が右隅へトライ。浦安ラグビースクールから今春入学したばかりの1年生司令塔が、公式戦デビューでチーム1本目のトライを挙げた。主将CTB山口滉太郎のゴール成功で7点を先制する。
以後も早実はFWが力強く前進し、BKも7分、12分にCTB園部心大がセットプレーからのアタックで連続トライを挙げるなど躍動。さらにNO8高橋玄、FL池田健晟が次々とインゴールを陥れる。前半だけで9トライ奪い、64-0で折り返した。
後半も1分にCTB園部がハットトリックとなるトライをマークすると、10分には後半から出場の1年生WTB飯泉敢太がこちらも公式戦デビューをトライで飾る。石神井もトライを奪われるたびに円陣でディフェンスの修正を指摘しあい、「1本必ず取ろう」と懸命に戦ったが、早実の守備を崩すまでは至らず。早実が最後まで主導権を握り続け、フルタイムを迎えた。
15本目のGを決めた早実のCTB山口主将は、「前半、FWとBKの連携が弱かった。ハーフタイムで修正しました。準々決勝は自分たちのラグビーができれば」とコメント。花園大会後の新人大会は準決勝で國學院久我山高に14-26で敗れ、3位決定戦は部員の体調不良で棄権したため4位に終わり、関東大会出場を逃している。この春季大会は、今冬の花園へ向けて仕切り直しの大会となる。
◎春季大会、他の3回戦結果(各ブロック勝者が5月5日、準々決勝で対戦)
・Aブロック:目黒学院40-12早大学院、東京朝高31-17大東大一
・Bブロック:國學院久我山64-0保善、本郷28-17青山学院
・Cブロック:明大中野29-19都青山、成城学園80-5都小山台