SOフレディ・ハーストが大会のオープニングゲームのキックオフでボールを蹴り上げた。
4月28日(日)の午前11時、『サニックスワールドラグビーユース交流大会2024』が福岡・宗像市のグローバルアリーナで始まった。
イングランドからやって来たトルロカレッジは、SHジョシュ・ペンギリー主将をはじめ、U17、U18の同国代表候補を何人も擁している。
3月に全国高校選抜大会を制した大阪桐蔭との戦いは注目された。
先に勢いをつかんだのはトルロカレッジ。キックオフを受けて攻める大阪桐蔭に対して前に出て守り、圧力をかけ続けた。
ターンオーバーからボールを手にすると、大阪桐蔭の反則を誘った。速攻。最後はHOテイラー・ベイリーがインゴールにボールをねじ入れた。
シンプルで力強かったトルロカレッジのプレーを受けたように見えた、立ち上がりの大阪桐蔭。
しかし、すぐに修正したのはさすが。細かなパスや連係により、少しずつ自分たちのペースをつかみ始めた。
縦と横のスペースをうまく使い、パスとキックでチームを動かしたSO上田倭楓のプレーが光った。
ただ、司令塔の良さを引き出すプレーをした選手たちが他にいたことを忘れてはいけない。
CTB手崎颯志の好タックルは仲間たちを勇気づけ、HO芦高優一のジャッカルが相手の勢いを削ぐ。
1番、原悠翔の低い姿勢のスクラムに相手は苦しんでいるようだった。
大阪桐蔭は前半9分にキックパスを受けたWTB水島功太郎がトライを奪うと、後半10分までに2トライを追加して19-7。力強さと巧者ぶりの両面を見せた。
最終的には総合力で上回り、24-14の快勝。敗れたトルロカレッジのSHペンギリー主将に「試合の入りは良かったが、後半は相手のペースで戦ってしまった」と言わせた。
大阪桐蔭は、CTB名取凛之輔主将が「勝ててホッとした」と笑顔を見せ、綾部正史監督は、「課題である試合の入りの悪さがきょうも出てしまいました」と反省した。
そして、「防御を崩して取れたトライも、そうでないプレーもありました。これまで以上に、もっとボールを動かしていこうと話しています。その部分では物足りないところもあったので、次の試合でチャレンジしていきたい」と続けた。
ニュージーランド王者として来日したサウスランドボーイズハイスクールも、國學院栃木を35-24と破り、実力の一端を披露した。
3点を先制されたものの慌てる様子はなかった。激しいコリジョンとアウトサイドでのオフロードパスで流れを引き寄せた。
前半を14-3とリードした。
後半に入ってもダイナミックなプレーを続けた。WTBエゼキエル・ハモンド=シオロのハードなランからトライを奪ったシーンもあれば、ワイドに散らして防御を崩した局面もあった。
攻撃オプションの多いチームだ。
しかし國學院栃木の諦めぬ姿勢も届いた。
後半7分、CTB福田恒秀道が自陣から個人技を駆使して走り切ってチーム初トライを奪うと、テンポのいいアタックを積極的に仕掛けて結局、後半だけで3トライを返す。
勝ったトーマス・スペイン主将(NO8)も、「前半はうまく戦えたが、後半は相手の強さを感じた」とリスペクトの気持ちを露わにした。
國學院栃木の笹本直希主将(LO)も、「コクトチはディフェンスのチーム。前半、もっと相手を止められていたら勝てたと思う」と敗戦の中でも手応えを掴んでいた。
ニュージーランド王者と戦った体感は、この先進むべき道を示してくれた。
女子の部(セブンズ)では、ニュージーランドのマヌクラが好調だ。初日はプール戦で3勝し、2日目もいっきに頂点まで駆け上がるつもりだ。
昨年の大会では雨中戦となった決勝で敗れ、惜しくも準優勝。そのときの悔しさは忘れていない。
決定力を見せるなどチームを牽引したマイア・デイビス主将も昨年、泥だらけとなった試合に出ていた。個人としても、チームとしても、力はアップしている。
「自分たちのプレーをして今回は勝ちたい」と話す。
「昨年は最上級生が5人のチームでしたが、今年は私を含めて3人しかいません。しかし、若い選手たちがチームにエナジーを与えてくれているので楽しみです」
男女とも、大会初日から熱戦が相次いだ。
それぞれのチームがスタイルを出し合い、新たな絆を作る光景は素敵。試合後におこなわれるピッチ上インタビューを、地元の高校生がおこなう手作り感も、ほのぼのとしていて多くの人に受け入れられていた。
山の緑が気持ちいい季節に、若者たちが躍動する。それが、観客を惹きつける魅力となっている。
大会は5月5日まで続く。未来のワールドカッププレーヤーは、この中に何人いるのだろう。