勝てば入替戦に向け弾みがつく。ただ本当に大事なのは、ここではなく入替戦で勝つこと。どちらも真実だろう。
ディビジョン2の上位3チームによる順位決定戦は4月28日に第2節がおこなわれ、リーグ戦2位のNECグリーンロケッツ東葛と同3位の豊田自動織機シャトルズ愛知が柏の葉公園総合競技場で対戦。ホストのグリーンロケッツが優勢に試合を進めたが、再三のピンチを粘り強いディフェンスでしのぎ、後半35分に逆転トライを挙げたシャトルズが17-14で接戦を制した。
前半は風上のグリーンロケッツが立ち上がりから主導権を握り、相手陣で多くのチャンスを作った。しかしWTBトム・マーシャルやFBレメキ ロマノラヴァらが切れ味鋭い走りで何度もラインブレイクするものの、フィニッシュの場面で痛いミスが続き、思うようにスコアを積み重ねられない。13分に見事なつなぎからSHニック・フィップスが先制トライを挙げ、以降もほとんどの時間を相手陣で戦ったが、前半の得点はこの7点にとどまった。
対照的にシャトルズは劣勢をよく耐え、徐々に自分たちの時間を増やしていく。この日初めてつかんだ26分のチャンスはグリーンロケッツの懸命のカバー防御に阻まれるも、相手の決定機に対してタフに体を張り続け、7点差のまま追走。そして37分、自陣からのアタックで左ライン際をあざやかに攻略し、FBケレビ ジョシュアがトライをマークしてイーブンで前半を折り返した。
後半もグリーンロケッツの流れで始まり、5分にグラウンドいっぱいを使ったダイナミックな連続攻撃からFLヴィリアミ・ルトゥア・アホフォノが突き抜けて14-7と一歩前に出る。しかし直後のプレーでゴールラインを越えたシーンは、途中でスローフォワードがあったというTMO判定によりトライキャンセル。するとそこからシャトルズが息を吹き返し、17分にSOフレディ・バーンズが正面のPGを決めて4点差に詰め寄る。
そして迎えた34分、シャトルズが右コーナーに迫ったところでグリーンロケッツのWTBマーシャルにハイタックルがあり、シンビンに。シャトルズはこのペナルティからラインアウトモールを力強く押し込み、HO 藤浪輝人が押さえてついに逆転に成功する(SOバーンズのG成功で17-14)。
グリーンロケッツも続くキックオフから猛然とたたみかけ、ゴールラインに迫ったが、シャトルズは渾身のタックルであと一歩の前進を阻止。最後はインゴールになだれ込まれながらも体を入れてグラウンディングを許さず、3点のリードを守り抜いて歓喜の拳を突き上げた。
前節は浦安D-Rocksに20-57の完敗を喫したシャトルズだったが、この日は引き離されそうな場面でよく辛抱し、チームとしての成長を示した。ディビジョン1との入替戦はどこが相手でも厳しい戦いになるが、いい流れでチャレンジできるのは確かだろう。徳野洋一ヘッドコーチも「昨季の入替戦は格上にチャレンジするという意識が強かった。でも今季は浦安D-Rocksには勝てなかったけれど2試合とも僅差で、グリーンロケッツには2勝できた。レベルアップできた実感があるし、入替戦で堂々と勝負を挑める」と手ごたえを口にする。
グリーンロケッツにすれば完勝しても不思議のない展開だっただけにもったいない敗戦となったが、どのエリアからでも一気にゴールラインまで持っていける圧巻の破壊力は、このチームのポテンシャルを表していた。キャプテンのFBレメキも「全然気にしなくていい。自分たちの目的は入替戦に勝つこと」と強気のコメント。仕留めの場面での精度が上がれば、入替戦で対峙するディビジョン1のチームにとって脅威になるだろう。