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「もっとボールを持たないと、活躍も貢献もできない」。松岡大河(シャトルズ)がデビュー戦を経て、見つめる先

2024.04.24

好ステッパーの松岡大河。この日はD-Rocksでもアーリーエントリーの何松健太郎がデビュー。トライも決めた。©️JRLO



 メンバー発表から試合当日まで、2人の松岡大河がいた。
「ずっと出たいと思っていたのでわくわくしています」
 そう話す強気な性格と、「緊張するタイプです。寝られないこともある」という面が同居していた。

 4月20日(土)におこなわれたリーグワン、D2の順位決定戦、浦安D-Rocks(レギュラーシーズン1位)×豊田自動織機シャトルズ愛知(同3位)に松岡は14番のジャージーを着て先発した。
 大事な一戦がデビュー戦となった。

 今季途中、アーリーエントリーで京産大から加入したWTBは、171センチ、80キロと小柄ながら、リーグ戦終了後に組まれたトレーニングマッチで結果を出し、この日、スターターのポジションをつかんだ。

「体は小さいのですが、細かなステップを使って相手をずらし、前に出るプレーが強みです」と話す22歳は、リーグワンと大学ラグビーのフィジカリティやスピードの違いに最初は戸惑った。
 しかし、シャトルズの練習の中で慣れ、ゲーム感覚もつかむ。高い対応力を見せたから大事な試合のピッチに立てた。

 チームに所属する選手たちのレベルの高さも自分の成長を後押ししてくれている。
 例えばSOのフレディー・バーンズは元イングランド代表。キックは巧みで自ら走るプレーも得意。D2の得点ランキングでトップを走っている。

 そんなハイレベルな選手と同じピッチに立つと、自分に見えていないところにスペースがあることに気づく。
「特に(ディフェンスの)裏に蹴るのがめちゃくちゃ上手なんですよ」

 D-Rocks戦は、憧れの選手と一緒にプレーする初めての公式戦。試合前には「ガムシャラに食らいついていきたい」と話した。
 そして迎えたキックオフ時。緊張より、「体を張る」と覚悟を決めた気力が上回った。

 チームは10点を先行する快調なすべり出しを見せたものの、20-57と敗れた。
 松岡自身は持ち味を出して何度かゲインラインを越えて走ったが、悔しいデビュー戦となった。

 中学1年生の時、大阪・茨田北中でラクビーを始めた。
 高校進学時に東福岡へ進んだのは、中学1年時の冬に見た花園決勝がきっかけだった。
 モスグリーンのジャージーが、御所実を57-5と圧倒した。「かっこいいな、と憧れました」

 選抜チームに選ばれたことなどなかったから自分のプレーを集めた映像を作って高校に送り、興味を持ってもらう。入学が実現した。
 関西の強い大学でプレーを続けたいと考えて京産大に進学する。「かなり走りました」という4年間を過ごし、「それがいまに生きています」。
 大学2年時と4年時には国立競技場の芝を駆けた。

 得意の走りは、YouTubeなどでステップ集を検索して研究もした。
 元オールブラックスのネヘ・ミルナースカッダーや南アフリカ代表のチェスリン・コルビ(現サンゴリアス)らの動きは、小さな自分の参考になった。

 向上心は高い。
 上のレベルでラグビーを続けたいと考えていたが、D1チームとは縁がなかった。それなら、上昇していくチームでともに階段を昇りたいと決意してシャトルズを選んだ。
「展開するチームで、WTBが輝けるとも思いました。雰囲気もいいな、と感じました」

 悔しいデビュー戦を終えて、自身のパフォーマンスを「35点」と言った。
「入りは良かったのですが、相手の強いコンタクトに流れを持っていかれました」と試合を振り返った後、「(個人的には)まったく通用しなかったわけではありませんが、納得いくプレーではなかった。自分がやるべきことをやらないといけない」と先を見る。

「ディフェンス時にFWをもっと走らせて枚数を合わせるとか、オーガナイズすることが足りませんでした」と反省し、「(自分は)もっとボールをもらえる選手にならないといけません。そうでないと、活躍も貢献もできない」。

 はやめにボールをもらいたいとき、パスが来ないシーンがあった。その理由を「信頼が足りない」とするのは、次へのエナジーになる。
 ふたたび出場機会を得られたときには、もっともっと動き、声を出す。

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