ラグビーリパブリック

「パ風呂・マテーラ?」三重ホンダヒート流の地域貢献。

2024.04.15

「あなたの街から、世界最高をつくろう。」
 リーグワンが掲げるビジョンだ。ミッションのひとつには、「地元との結束」を掲げる。いわゆる地域密着、地域貢献である。

 三重ホンダヒートがその動きを加速させている。

 三重県は海と山が近く自然に恵まれ、鈴鹿サーキット、伊勢神宮といったレジャー施設や名所も多い「観光のまち」。松阪牛や伊勢エビなどの特産物も多く、ヒートのホストゲーム会場で販売される伊勢志摩名産の「蒸し牡蠣」は特に人気だ。

 リーグワンが創設されて3季目となった今季は、多くのホストゲームで市民の招待企画をおこなっている。その市に絡めた企画を「地域共闘プロジェクト」として打ち出す。その町の大きなPRとなっている。

 例えば、3月10日の第9節・ブラックラムズ東京戦は「亀山市民応援DAY」として開催した。
 日本初の紅茶専用品種で「日本産紅茶としてはじめて海外の紅茶に追いついた」と評される、べにほまれ紅茶を生産する伊達丸亀製茶とコラボ。パブロ・マテーラとジャスティン・ダウニーの2選手が選定した茶葉でブレンドした、特別な紅茶を来場者4000人に配布した。

 第11節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦は「四日市市民応援DAY」として開催。
 今度は、明治14年に創業され、三重県伝統工芸品として指定されている四日市の特産品「日永うちわ」を製作する稲藤とタイアップ。今回限りのオリジナルデザインで日永うちわを製作できるワークショップを開いた。

 さらにこの日は、四⽇市のふるさと納税の返礼品としても⼈気の「ひやむぎ」(渡辺製麺)も配布。四日市のソウルフードである「とんてき」のキッチンカーがあったり、四日市伝統の諏訪太鼓「楽鼓隊」が会場を盛り上げるなど、とことん地元PRにこだわった。

 最近の取り組みで目を引くのは、湯の山温泉協会とのコラボだ。
 キャッチーな言葉が、アルゼンチン代表のスター、パブロ・マテーラの吹き出しにある。

「パブロ・マテーラならぬパ”風呂”・マテーラで三重の温泉地を応援しています」

 温泉にちなんだコラボグッズも作成。日本を代表する有名旅館でも多数使用されている三重県産のヒノキを使った湯桶は、それを作る職人のもとへ3か月通い、口説いた。
 1000年以上の歴史を誇り、三重の伝統的工芸品である「伊勢型紙」の手ぬぐいも販売している。

 さらに4月21日の第14節・東芝ブレイブルーパス東京戦では、湯の山温泉協会のブースが出展されることが決まった。日帰り入浴券や湯の山温泉のお土産が当たる抽選会も実施する予定だ。

 事業スタッフの諸冨亮輔さんは言う。
「素晴らしい観光地や歴史ある特産品でも、意外と世の中に知られていないことがあります。三重ホンダヒート、ラグビーを通して、そうした三重の良さを広めたり、地元を盛り上げたいと思っています」

 はじめはヒート側からの持ち込み企画が大半だったが、最近ではコラボをお願いされるケースも出てきている。
 トップのリーグで戦う県内のスポーツチームは、現時点でヒートしかない。地道に地域に根ざしていけば、ファンは必ず増える。

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