スーパーラグビー・パシフィックは第8節目を迎え、レギュラーシーズンも中盤戦に突入した。
今週の最大の注目カードは、4月13日にスカイスタジアム(ウエリントン)でおこなわれるハリケーンズ×チーフスのカードに尽きる。
昨年の覇者クルセイダーズが開幕から勝ち星に恵まれず6戦目にしてようやく初勝利と出遅れているなか、ハリケーンズは開幕から唯一負けなしの6連勝と、最高のスタートダッシュを切った。
今季ここまで良い成績をキープできているのは、2チーム分作れるくらい、誰が出ても良いパフォーマンスをしている選手層の厚さだろう。
特に注目は、FW第3列の充実ぶりに目がいく。
NZ国内のメディアや評論家、そしてラグビーファンも絶賛するFL/NO8のピーター・ラカイは、FLデュプレッシー・キリフィを抑えて背番号7を付ける事が多くなった。
控えにキリフィいる事で後半のパフォーマンスが落ちない事が好調の秘訣と言えるかもしれない。
そしてNO8ブレイデン・イオセの活躍ぶりは、サバティカルを利用して日本でプレーしているアーディー・サヴェアの不在を感じさせないほどだ。
それに加えて、これまで課題だったスクラム、ラインアウトのセットピースが改善している事から、毎試合安定したゲーム運びができているのも大きい。
BKに目を向けると、今季もインパクトあるランを見せつけていたSHキャム・ロイガードが第6節のハイランダーズ戦でアクシデントのケガで長期離脱となった。
しかし心強い事に経験豊富なTJ・ペレナラが長期のケガから戻ってきている。若干スローテンポだったボール捌きが復帰後は早くなり、完全復活どころか以前より進化している印象だ。
そして何よりも司令塔のブレット・キャメロンのゲームメイクが今年も光っている。
昨年はキャメロンがケガで離脱してから、ハリケーンズが失速した印象がある。ボーデン・バレットがチームを去って以来、ずっと課題のポジションだった背番号10が安定すればFW陣の充実があるだけに優勝も見えてきそうだ。
キャメロンのゲームコントロールの上手さもあり、爆発力のあるWTBキニ・ナホロ、決定力のあるジョッシュ・モービーの2人を活かすことができている。
最後尾のFBルーベン・ラヴは、今年はケガもなく開幕からキレのあるランを見せつけて絶好調。オールブラックス入りは時間の問題かもしれない。
一方でチーフスは敵地でレッズに敗れ、その後クルセイダーズの勢いに押されて初白星を献上。第7節を終了時点で5勝2敗の4位で、昨年ほどの強さはまだ感じられない。
第7節のモアナパフィシカ戦は、68-12で大勝した。その試合では、今季の新顔であるFL/NO8ウォレス・シティティのプレーが光った。
スピードのあるランプレーを始め、スキルフルなところも見せつけ、初先発ながらも強烈なインパクトを残した。その結果、ハリケーンズとの大一番で背番号8を託される。
大一番で良いパフォーマンスが出来ればチームでのレギュラーだけでなく、一気に代表入りも見えてくるかもしれない。それくらいの大物ぶりを感じさせる若者だ。
◆注目マッチアップは盛りだくさん。
両チームのメンバが発表された。オールブラックスの選手がずらりと並んでいるわけではないが、オールブラックスに手が届きそうな選手がずらりと並んでいる。
数多くある注目マッチアップの中、厳選していくつか挙げてみた。
アサホ・アウムア×サミソニ・タウケイアホのHO対決
パワフルモンスターの2人のガチンコ対決は見ごたえあり。ラインアウトのスローイングが試合のカギを握るか。
ブレイデン・イオセ×ウォレス・シティティのNO8対決
ザ・ナンバー8の言葉が似合う二人の対決は興味深い。どちらが目立つかでチームに勢いが出てくることになりそう。
TJ・ペレナラ×コーティス・ラティマのSH対決
代表復帰を目指すペレナラと初の代表入りを目指すラティマの対決は見ごたえがありそう。
オールブラックスのSHのセレクションマッチと言えるか。
ブレット・キャメロン×ダミアン・マッケンジーの司令塔対決
1キャップのキャメロンが代表復帰するには、マッケンジーとの直接対決でアピールしたいところ。両軍のバックスリー(WTB/FB)に危険なランナーが揃っているので両者のキックの精度が試される。
ジョーディー・バレット×アントン・レイナートブラウンのCTB対決
オールブラックスの12番争いをかけての対決は必見。熱い戦いになる事は間違いない!
ルーベン・ラヴ×ショーン・スティーヴンソンのFB対決
両者の得意のカウンターアタック合戦が見られれば試合が盛り上がる。代表入りに向けてお互いに負けられない。
昨年の直接対決は、チーフスが勝利した。そしてその後、さらに勢いをつけてレギュラーシーズンを1位で通過している。
今季は、ハリケーンズがその道を行くのか。チーフスが止めるのか。激戦になる事は間違いないだろう。