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横河武蔵野がキックオフミーティングを開催。2年後の創部80周年を意識

2024.04.09

横河武蔵野に3人のルーキーが加わった。左からPR四元涼太(法政大)、CTB奥田北斗(天理大)、SH若林将哉(愛知学院大)。(撮影/山形美弥子)



 トップイーストリーグAグループの横河武蔵野アトラスターズが、2年後の80周年を意識している。

 前身となる横河電機ラグビー部の始まりは終戦直後の1946年。選手OBが自らの手で環境を作って現役選手を支えてきた。
 創部78年目を迎える伝統のチームが、3月30日、ホーム(東京・武蔵野市)でキックオフミーティングを開催。再出発を切った。

ホームグラウンドにあるクラブハウスでミーティングを待つ選手たち。左からFL原島禅、PR古澤空大、FL柴大河。(撮影/山形美弥子)

 指導体制を刷新した。
 2007年にチームの黄金期を築いた選手OBの荒川治ゼネラルマネージャーを始め、新たにチームに合流したのは、栗林宜正FWコーチ、菊地悠介BKコーチ兼DFコーチ、高田美弦S&Cコーチ、中野喬章S&Cコーチと、関口純裕メディカルトトレーナー。

 選手補充は、まずフレッシュルーキー3人。PR四元涼太(法政大)、CTB奥田北斗(天理大)、SH若林将哉(愛知学院大)が加わった。
 また、PR高田和輝(帝京大、横河武蔵野2014年〜2022年所属)、WTB、FB西橋誠人(明治大、横河武蔵野2015年〜2021年所属)が復帰。
 さらにCTB、WTB、FB高平祐輝(明治大、NECグリーンロケッツ東葛2014年〜2021年所属)が加入した。

2026年に創部80周年を迎える横河武蔵野。武蔵野陸上競技場に2000人の観客を集めたい。(撮影/山形美弥子)

 新卒ルーキーたちは、ミーティングでもトレーニングでも、緊張感のある引き締まった表情を崩さない。3人で結束して取り組む姿が印象的だ。

 PR四元涼太(法政大)は、「体験入部のときに感じた、チームの雰囲気の良さが入部の決め手」と話す。「ポジションは1、2番を目指していますが、機会があれば3番にも挑戦したい」と貪欲だ。9シェイプ、10シェイプアタックのボールキャリーに注目してほしい。

 同じく、チームの雰囲気や環境に惹かれて入部を決意したCTB奥田北斗(天理大)は、「大学時代WTB、CTBだったので11〜14番を目指します。愚直にディフェンスにいくところを見てほしいです。アタック面では接点のところ」と話す。

 SH若林将哉(愛知学院大)は、横河武蔵野にはラグビーに全力で取り組める環境があると感じたという。注目して欲しいプレーは、「アタックのテンポを上げるパスと、体の大きい相手にも負けずにタックルするディフェンス」。9番ジャージーの獲得を目指す。

 ミーティングでは、競技成績のほか、事業性や社会性も見つめ直された。
 高島大地ヘッドコーチが戦略面の説明に入ると、選手たちの背中から一気にエネルギーが放出し始める。会場の空気も一変した。

 強化計画は、選手自らがリードする。キャプテンの山田皓也をメインに、LO韮沢陽斗、FL柴大河、SO衣川翔大、CTB松下修士、FB青木大らが脇を固める。

 キャプテン山田が、昨季について振り返る。
「勝つためのビジョンがバラバラになってしまい、シーズンを通して一体感がないまま終わってしまった。チームをまとめられず、全員の力を引き出せなかったことに、キャプテンとして力不足を感じて反省しました」

昨季に引き続きキャプテンとしてチームの先頭に立つ山田皓也。2024シーズンのチームスローガンは『First Move(先手)』。(撮影/山形美弥子)

 前季の横河武蔵野は開幕2連勝後、6連敗で入替戦でも敗れた。Bグループ降格となったが、セコム、ヤクルトの昇格を受け、Aグループ残留となった。

 今季について、こう続けた。
「昨年負けた相手にもう一度リベンジするチャンスを与えられたと思って、悔しかった経験、うまくいかなかった経験を活かして、これまで以上にハードワークします。プロ選手は1人もいませんが、環境を言い訳にせず戦うことが先輩方から受け継いできたレガシーです。地域に愛される、最高のスポーツクラブを目指して日々努力していきます」

 今シーズンの初戦は、AZ-COM丸和 MOMOTARO’Sとの対戦。東京大学丸和柏FUSIONフィールドで5月18日(土)、13時00分のキックオフだ。

2季目を迎えるCTB/SO古舘晏璃(洛北高・同志社大)。「今季は笑顔で終われるよう全力で頑張ります。スピードと力強いプレーに注目してください」(撮影/山形美弥子)

 待っているだけでは観客席は埋まらない。
 プロモーション活動をはじめとしたマネジメント業務は、選手OBの川村航を筆頭に、SNSの発信を高田和輝、大栗松長、小原洋ら選手OBがリードする。

 2023シーズンTEリーグ第2節、1400人の観客を集めた武蔵野陸上競技場。横河武蔵野VSヤクルト戦(2023年9月24日)の結果は21-20。昨季、リーグ戦でヤクルトに勝ったのは、横河武蔵野だけだった。

 選手OBの阿多弘英アナリストは、集客活動の大切さと、三鷹・武蔵野のポテンシャルを感じたという。
「秩父宮みたいな聖地とは違い、武蔵野陸上競技場というローカルな地で、プロチームでもない、有名選手もいない、サラリーマンのみのアマチュアチームが試合をして1400人ですから。すごいことですよ」。

 2022年シーズンにキャプテンを務めた松下修士は、当時このように展望を語っていた。
「地域の皆さんに貢献して、応援してもらえるようなチームになりたい。応援の力があれば、僕らも100パーセント以上の力が発揮できます。武蔵野を代表するスポーツクラブとして、皆さんから応援される中で勝利を勝ち取りたい」

 横河武蔵野のキャンバスには、2000人の観客で埋め尽くされる武蔵野陸上競技場が描かれている。その理想に、一歩ずつ、確実に、近づいている。

 なお、3月末をもって引退を表明した選手・スタッフは以下の通り。14人の有志たちを、拍手で見送ろう。

PR東森友宏(在籍7年)
HO佐藤公彦(在籍7年)
LO正井伸幸(在籍7年)
WTB佐藤拓磨(在籍7年)
LO酒井亮八(在籍7年)
NO8Jayden Toa Maxwell(在籍6年)
SO村上晴太(在籍6年)
PR大栗松長(在籍6年)
CTB木元慎也(在籍5年)
CTB小沢翔平(在籍5年)
田牧一幸(S&Cコーチ)
福岡員正(FWアナリスト)
二反田楓(S&Cコーチ)
蜷川親秀(アスレティックトレーナー)

引退セレモニーで記念ジャージーを贈られた選手たち。(前列左から)SO村上晴太、LO正井伸幸、LO酒井亮八、HO佐藤公彦、CTB小沢翔平、(後列左から)NO8Jayden Toa Maxwell、WTB佐藤拓磨、PR大栗松長、PR東森友宏。(撮影/山形美弥子)

 CTB小沢は退団にあたり、「社会人ラグビー12年間の中で、10年間トップイーストでプレーできたことは幸せなこと。入団のきっかけであるSH那須光と一緒に引退をしようと言っていたので悔しい部分はある」としながらも、「ホーム戦では特に、武蔵野市やスポンサーの皆様から応援されていることを感じることができた」と振り返った。

「成蹊大学ラグビーと交流ができ、多くの選手とラグビーを楽しむことができた。ここまでラグビーできたのは、両親・家族の理解があってこそ。アカデミーやユースのあるチームとしてこれからもラグビー界を支えてくれる存在だと思うので応援していきたい」

 彼らの熱いまなざしは、横河電機グラウンドに立つ男たちの心をいつまでも優しく照らすだろう。

※詳しいチーム情報は横河武蔵野アトラスターズ公式ホームページでご確認ください。

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