ラグビーリパブリック

4強争いの只中。イーグルスは「強くつながり続けてラグビーを」。

2024.04.07

ブラックラムズ戦でタックルされたコーバス・ファンダイクをサポートする嶋田直人(撮影:菅原淳)


 勝っても納得していない。

 4月6日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場。国内リーグワン1部の第12節でリコーブラックラムズ東京を31-12で下した横浜キヤノンイーグルスにあって、沢木敬介監督はこの調子だ。

「もっと自分たちの目指すレベルでプレーしないと、トップ4、それ以降のシーズン(プレーオフ)にも影響が出る。スキルにおいても、相手のプレッシャー(が要因)じゃなく、自分たちでエラーしている場面が多いです。焦って、コントロールできない状況もある。メンタルとパフォーマンスをつなげるコネクションのところが、まだ…。(組織としての)経験と、グラウンドのなかでどう修正するかというコミュニケーションは、まだまだレベルアップが必要だと思います」

 3トライ差をつけての白星により勝ち点5をつかんで暫定4位浮上も、連続攻撃のつなぎにミスがあったり、判定や状況判断の綾で自陣に入り込まれたりしたのを反省した。FLとして58分間プレーの嶋田直人もこうだ。

「勝ち点として(他の上位陣に)プレッシャーをかけられたのはよかった。ただ、内容としては、もう少し丁寧にプレーできたかなと。自分たちのスタンダードじゃなかった」

 前年度はクラブ史上最高の3位。今季も主力に故障者を出しながら、底力を蓄えてきた。不完全燃焼だったというこの午後も、ルーズボールへの反応、自陣ゴール前での防御が光った。

 特に嶋田は、HOの中村駿太らと磨いているというジャッカルの技術で魅した。

 わずか7点リードで、かつシンビンによる数的不利を強いられていた前半28分頃。自陣での守備局面で何度もアクションした。最後は、味方の主将でCTBの梶村祐介が好タックルを決めた地点へ駆け寄った。狩りに出た。ペナルティキックを得た。

 その2分前にはトライラインを背にしてピンチをしのいだとあり、長髪が特徴の身長181センチ、体重99キロの32歳はこう述べた。

「ディフェンスの粘り、厚みができたのはよかった。ブラックラムズさんは弱いチームじゃない。それをしっかり止められたのは、自信にはなると思います」

 嶋田と両FLを組んだコーバス・ファンダイクも、走者をつかみ上げるタックルや相手のラインアウトでのスティールで気を吐いていた。

「ターンオーバー狙いのディフェンスも取り組んできたところ。今日はうまくいきました。毎回、勝たなきゃいけない気持ちで挑んでいます。チームは、いい感じです。(今後は)勢いを止めないこと。過信せず、忠実に、慎重にやっていく。月曜(週明け)にこのゲームを検証、反省し、課題を克服します」

 現体制の発足から4シーズン目を迎えている。多彩な攻撃オプションの落とし込みと妥協を許さぬ姿勢で知られる沢木監督のもと、いまはより選手主体で戦い抜くことを目指す。

 普段のトレーニング後は、リーダー同士、似たポジション群で忌憚なく意見交換。中盤戦で僅差のゲームを落としたのを踏まえ、勝負強さを身につける前提として選手間の意思統一を深める。

 最近ではHOの川村慎によれば「ハドル(円陣)でリーダーがしゃべっていることにワンコールで聞い(反応し)たり、そこに対してコミットして(得点が動いた後なら)次のキックオフに備えるということができ始めている」。嶋田は続ける。

「結局、やるのは自分たち。僕たちが強くつながり続けてラグビーができるか(が大事)。そんなにスーパースターがいるわけではないですし、そもそもラグビーにはひとりで(局面を)打開できることは少ない。皆が同じほうを向いてできるようにしています」

 レギュラーシーズンは残り4試合。向こう3戦は順位で下回るクラブとの対戦が並んでいるものの、「気を抜ける相手はいない。自分たちと相手の順位は関係ないです」。一戦必勝の姿勢を強調する。

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