上位に勝ち進むことはできなかったが、残した印象は大きかった。九州新人大会で32年ぶりにパート決勝に進出し、2大会ぶり8回目のセンバツに挑んだ高鍋だ。
茗溪学園との初戦は緊張からか前半思うように波に乗れず0-17と先行されたが、硬さのとれた後半は互角以上の戦いを見せて12-24と追い上げた。続く2回戦は大阪で着実に力をつけつつある興國を相手に序盤から主導権を握り、9トライを挙げて55-12で快勝。
FW、BKの偏りなく多彩なパターンで得点を重ね、今後が楽しみになる戦いぶりを見せた。
「茗溪学園に勝つための準備をしてきたのですが、準備したプレーがことごとく封じられて主導権を握られてしまった。でも後半にFWでトライを取れたので、興國戦はシンプルに行こうと。その結果流れをつかめて、いい形で大会を終えることができました」(檜室秀幸監督)
177センチ、122キロの右PR津曲勇紀を筆頭に、100キロオーバーの選手を先発に3人擁する今季のFWは、「間違いなくチーム史上最重量」(檜室監督)というサイズを誇る。BKにも優れたスキルを有するプレーメーカーのSO 土屋心和や、興國戦で3トライをマークしたフィニッシャーのWTB 山下隆世ら力のある選手がそろっており、さまざまな形でチャンスを作り、仕留めきれるのが強みだ。
去年のレギュラーが7人残り、経験という点でも例年以上にアドバンテージがある。
またOBで同志社大出身の森大樹コーチが新たに加わり、同じくOBで帝京大、神戸製鋼で活躍した平原大敬コーチも週2回ほど指導にあたるなど、コーチングスタッフの充実もチームの成長を加速させているという。
特にフィジカル面とスクラムの強化には手ごたえを感じているそうで、檜室監督は「だいぶよくなりましたし、これからもっと強くなれると感じています」と語る。
「下級生の頃から期待されてきた学年です。ただ、まだまだディフェンス力が低い。タイトな展開になった時の試合の進め方や、序盤の組み立てなども未熟。そこがよくなれば、もっといいラグビーをできると思います」(檜室監督)
今大会で得た課題と収穫、敗戦の悔しさと勝利の喜びは、大きな可能性を秘めたチームにとって貴重な財産になるだろう。この経験を経てどのように潜在力を開花させていくのか。秋以降の姿に期待を抱かせる戦いぶりだった。