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D3のブルーシャークスが昇格に王手。D2最多観客入った一戦はキューデンヴォルテクスが制す

2024.03.31

パワフルに突進してインゴールにボールを押さえたブルーシャークスのNO8トロケ・マイケル(C)JRLO


 清水建設江東ブルーシャークスが昇格に王手をかけた。3月31日、神奈川県の小田原市城山陸上競技場でおこなわれたディビジョン3の第11節でマツダスカイアクティブズ広島と対戦し、71-17と大勝した。
 総勝点29となって3試合を残す江東ブルーシャークスは、次節のクリタウォーターガッシュ昭島戦で引き分け以上なら、トップ2が確定して自動昇格が決まる。

 一方、敗れたスカイアクティブズ広島は、入替戦出場権争いが現実的となり、それをつかめる位置の3位にいるが、残り試合がひとつ多い4位・ウォーターガッシュ昭島との勝点差はわずか2ポイントで、直接対決がある最終節まで厳しい戦いが続きそうだ。

 2位と3位の激突となった注目の試合で、江東ブルーシャークスは前半3分、相手ディフェンスが前へ詰めてきたところ、NO8トロケ マイケルがかわして抜け、力強い走りで次々とタックルを振りきり先制した。13分にはスクラムで圧力をかけてターンオーバーし、パワフルなCTBオルビン・レジャーのトライにつながった。

 対するスカイアクティブズ広島は19分、スクラムを起点にCTB本山峻也の力強いボールキャリーでゴールに迫り、すばやくリサイクルしてワイドにボールを動かし、WTB中村悠人がインゴールに持ち込み5点を奪い返した。

 しかし、江東ブルーシャークスは23分、敵陣深くでペナルティキックを得ると、クイックタップで速攻を仕掛け、WTB野田涼太のトライで流れを引き戻した。30分には、スクラムからNO8トロケがサイドアタックで3人のタックルを破り追加点。35分にはWTB金澤徹がしなやかな走りで大きくゲインし、つないでSOリマ・ソポアンガがフィニッシャーとなった。江東ブルーシャークスの勢いは止まらず、ハーフタイム前にはスクラムで圧倒して相手の反則を引き出すと、ラインアウトからモールでゴールに迫り、ボールを動かしてFBコンラッド・バンワイクがラインを割った。

 前半だけで40-5と大きくリードした江東ブルーシャークスは、後半早々にはCTBレジャーがタックラーを弾き飛ばしてハーフウェイから独走し、その後も4トライを追加。守っては、後半の相手の反撃を12点に抑え、大勝となった。

試合終了間際にモールでペナルティトライを獲得し同点に追いついたレッドレグリオンズ (C)JRLO

 ディビジョン3の首位で、先週に自動昇格を決めた日野レッドドルフィンズは、この日、広島県のバルコムBMWスタジアムで中国電力レッドレグリオンズと対戦し、26-26の引き分けに終わった。

 シーソーゲームとなり、両チームとも2トライずつ挙げて迎えた60分(後半20分)、ゴールキックの差で2点ビハインドだったホストチームの中国電力レッドレグリオンズは、SO宮嵜隼人が好走で大きくゲインし、サポートがついてNO8松田進太郎がフィニッシャーとなり、再びゲームをひっくり返した。

 しかし、14-19とされた日野レッドドルフィンズは70分に敵陣深くに入ると、ラインアウトからのモールドライブは止められたものの、NO8エイジェイ・ウルフが持ち出してインゴールに突っ込み、同点。さらに、75分にもチャンスとなってモールで押しきり、勝ち越しとなった。

 それでも、7点を追う中国電力レッドレグリオンズも粘り、土壇場の79分、SO宮嵜のブレイクとFB北山絢大のサポートでビッグゲインとなって敵陣深くに入り、相手に反則があってゴール前のラインアウトへと移り、モールで前進、相手が故意に崩す反則を犯したため、三井健太レフリーはペナルティトライを宣告し、同点となった。

 試合終了間際に日野レッドドルフィンズはペナルティゴールのチャンスをつかんだが、決まらず、引き分けに終わった。

ホストを務めたレッドハリケーンズの裏方の努力もあり、観客9千人超となったヤンマースタジアム長居(C)JRLO

 同日、大阪のヤンマースタジアム長居では、ディビジョン2の最多入場記録を更新する9,171人の観客の前でレギュラーシーズン最終戦がおこなわれ、ビジターの九州電力キューデンヴォルテクスがホストチームのレッドハリケーンズ大阪を30-14で下し、順位決定戦へ向け弾みをつけた。

 拮抗したゲーム展開のなか、前半19分、3点ビハインドだったレッドハリケーンズが敵陣深くでペナルティキックを得ると、SO呉嶺太が相手の隙を逃さずタップから仕掛け、WTB山本貫太の逆転トライにつながった。

 しかし、キューデンヴォルテクスは30分、敵陣深くに入ってフェイズを重ね、アドバンテージを得ると、SOトム・テイラーが飛ばしパスを放り、キャッチしたWTB山田章仁が右隅にトライを決め、17-14と再逆転で折り返しとなった。

 そして後半、立ち上がりからゴール前で攻め続けたキューデンヴォルテクスは、レッドハリケーンズの粘り強いディフェンスに何度もトライを阻まれていたが、60分(後半20分)にWTB萩原蓮が約45メートルのペナルティゴール(PG)を決め、大きな3点を追加。その後、LOショーン・ロビンソンやキャプテンのNO8ウォーカーアレックス拓也などがブレイクダウンで奮闘して相手の反撃を封じると、76分にもPGでリードを広げ、最後はCTBフィル・バーリーのトライと萩原のコンバージョンで締めくくった。

 この両軍はディビジョン2の順位決定戦で再戦することが決まっており、日本製鉄釜石シーウェイブスとともに4~6位を争い、最下位(6位)になったチームは残留・降格がかかる入替戦に出場することになる。