就任37年になる國學院栃木の吉岡肇監督が、しみじみ言った。
「最後の場面で低く魚雷のようなタックルを全員ができた。それが今年の真骨頂。観客席の応援も芝生の上に響いていた。37年もやっているとこういうドラマを見せてもらえるんだなと。感動させられました」
2日前の全国高校選抜大会2回戦でも見せた、チームのDNAでもあるディフェンスをこの日もいかんなく発揮した。
2回戦の京都成章戦では10-0で完封勝利。そして3月26日の準々決勝第2試合で、近畿大会2位の御所実を13-7の僅差で破った。
1トライ1ゴールで逆転を許す、6点のリードで迎えた最終盤。御所実がグラウンド中央で強みのモールを意図的に作ろうとする中、國學院栃木は低く、鋭く刺さり続けた。フェイズを重ねられたがそれでも守り切り、最後は御所実にペナルティの笛が鳴った。
花園で準優勝を飾った3年前を思い出させるような堅守は、序盤からすでに光っていた。
立ち上がりから御所実の猛攻を浴びるも、その度にFW、BK全体でタックルに入る。失点を最低限に防いだ。
國學院栃木は、御所実FL辻口豪都主将らの連続スチールなどでラインアウトでのマイボール確保はほとんどできなかったが、キック合戦で競り勝ち何度も敵陣へ。先制点は前半13分だ。SO神尾樹凛がPGを沈めた。
しかし、御所実も相手のミスから敵陣深くに入り、27分にラインアウトモールでトライ。御所実が7-3と逆転して前半を折り返した。
後半は互いにスコアチャンスをものにできない時間帯が続いた。國學院栃木が4分のPGを外せば、御所実もその直後にモールを勢いよく前進させたがグラウンディング寸前で落球。再び攻撃権は國學院栃木に移った。
スコアが動いたのは21分だ。相手のパスミスから掴んだ好機はノットグラウンディングの判定も、再び連続攻撃でゴール前まで迫り、最後は勢いよく走り込んだWTB蟹江海晴が突破。ゴールも決まり、10-7と逆転した。
國學院栃木はその後も相手のイージーなミスも逃さず、30分に敵陣10㍍ライン付近でPKを獲得。3点に変え、これが決勝点となった。