リーグワン(ディビジョン1)のプレーオフ進出をかけて激しいトップ4争いが繰り広げられるなか、前節終了時に3位だった東京サントリーサンゴリアスが同6位トヨタヴェルブリッツとの死闘を制し、大きな勝利をつかんだ。試合終了間際にドラマが続き、39-38で劇的な逆転ゲームとなった。
3月16日に愛知・豊田スタジアムでおこなわれた第10節は、リーグワンのリーグ戦観客数最多記録を更新する3万4568人の前で、激しい戦いが繰り広げられた。
前半をリードしたのはホストチームのトヨタヴェルブリッツだった。序盤、WTB和田悠一郎のキックチャージでボールを奪い返すと、ハーフウェイからつないで和田が右外を抜け、内についていたFLアイザイア・マプスアにつなぎ先制トライが生まれた。
その後、同点に追いつかれたが、16分には敵陣10メートルライン手前でCTBチャーリー・ローレンスから折り返しのパスをもらったFB高橋汰地が抜け、快走、軽快なフットワークでディフェンダーをかわし、勝ち越しトライで会場を沸かせた。
トヨタヴェルブリッツは14-10で迎えた28分にも敵陣22メートルライン付近に入ると、ラインアウト後、斜めから走り込んだCTBシオサイア・フィフィタが抜け、サポートのSHアーロン・スミスにつないで追加点となった。
さらに、前半最後にはアーロン・スミスなどが相手にプレッシャーをかけてペナルティを得ると、世界最優秀選手に選ばれたことがあるニュージーランド代表のSOボーデン・バレットが約50メートルのロングショットを決め、14点リードで折り返した。
トップ4入りへ向けて負けられないトヨタヴェルブリッツは、後半早々にも加点する。相手のハンドリングエラーでボールを手にすると、CTBローレンスのチップキックをFB高橋がキャッチして好走でチャンスとなり、サポートについていたニュージーランド代表125キャップのアーロン・スミスがインゴールに持ち込み、点差を広げた。
だが、10-31とされた東京サンゴリアスは巻き返し、51分(後半11分)、敵陣深くに入ってラインアウトからモールで前進し、キャプテンのHO堀越康介がインゴールに突っ込んだ。SO高本幹也のコンバージョンも貴重な追加点となる。
56分にも敵陣深くに入ると、必死にディフェンスするトヨタヴェルブリッツに対して根気よく17フェイズ重ね、右外にいた副将のLOハリー・ホッキングスがフィニッシュ。
勢いづく東京サンゴリアスに対してトヨタヴェルブリッツの反則が増え、サンゴリアスは62分にもゴールに迫ると、NO8シオネ・ラベマイが仲間のサポートも得てパワーでダブルタックルをはねのけ、トライ。コンバージョンも決まり2点差に詰めた。
そして、66分にはFL桶谷宗汰のジャッカル成功で敵陣深くに入り、連続攻撃で相手の反則を引き出し、ペナルティゴールで逆転した。
32-31とした東京サンゴリアスはその後、粘り強いディフェンスでリードを保った。
しかし、試合終了間際の79分、サンゴリアスに反則があり、トヨタヴェルブリッツはペナルティゴールのチャンスをつかむ。40メートル超の難しい角度からバレットが放ったショットはわずかに届かなかったが、ボールはゴールポスト当たってはね返り、弾道を追っていたグリーンジャージーの23番・山口修平がそれを確保してインゴールに突っ込み、大観衆も熱狂する逆転トライとなった。トヨタヴェルブリッツがミラクル劇で今季6勝目をつかむかと思われた。
だが、死闘のドラマはこれで終わりではなかった。
残り数秒でリスタートがあり、6点ビハインドとなった東京サンゴリアスは、キックオフの空中戦で身長206センチのホッキングスが果敢に競り、イエロージャージーがボールを確保する。そして、猛攻のサンゴリアスに対し、懸命に守るトヨタヴェルブリッツの選手が危険なタックルをしてしまい、レフリーは退出を命じた。数的有利となった東京サンゴリアスは敵陣深くに入り、怒涛の攻撃でゴールに迫る。そして最後、スクラムで圧力をかけてボールを手にしたSH齋藤直人がギャップを抜けてインゴール中央に持ち込み、SO高本のコンバージョンも決まって劇的な幕切れとなった。
東京サンゴリアスはこれで8勝2敗(総勝点38)、痛恨の敗北を喫したトヨタヴェルブリッツは5勝5敗(総勝点24)となり崖っぷちに立たされた。