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前王者スピアーズが崖っぷちで踏ん張った! 18点差からイーグルスに劇的逆転勝ち

2024.03.15

試合終了間際、キックスキルと好走でスピアーズに逆転勝利をもたらした殊勲者、岸岡智樹(撮影:松本かおり)


 崖っぷちに追い込まれていたディフェンディングチャンピオンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイが、プレーオフ進出へ執念を見せた。レギュラーシーズン全16節中、9節までに5敗を喫し、これ以上負ければトップ4争いに踏みとどまるのは絶望的という厳しい状況のなか、前を走る5位・横浜キヤノンイーグルスとの激闘を29-26で制した。1人がレッドカードをもらって苦しくなり、60分を経過した時点で18点ビハインドだったが、終盤に3連続トライで逆転勝利をつかんだ。

 後半途中までイーグルスに勢いがあった。前半はテリトリー、ポゼッションとも60%以上、劣勢のスピアーズは反則が多く波に乗れなかった。

 スピアーズがペナルティゴールで先制したものの、イーグルスは10分、敵陣深くに入ってラインアウトを起点に攻め込み、ゴールに迫ったWTB竹澤正祥が2人にタックルされながらも強さを発揮し、FB小倉順平の後押しもあってインゴールに押さえ、最初のトライを決めた。
 その後、スピアーズがラインアウト・モールで5点を奪い返したものの、イーグルスは33分、ラインアウトからの展開でSO田村優が絶妙なキックでディフェンス裏にボールを出し、それを追ったCTBローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグが仕留め、再びリードを奪った。

 そして37分、スピアーズのNO8ファウルア・マキシが危険なタックルでカードを提示され、オフフィールドレビュー(ビデオ検証)の結果、レッドカードにアップグレードとなり、スピアーズは20分後まで14人で戦うことになった。

 数的有利となったイーグルスは39分、テンポよくフェイズを重ねてWTBヴィリアメ・タカヤワが右隅にフィニッシュし、コンバージョンも成功。11点リードで折り返しとなった。

 1人少ない相手に対し、イーグルスは後半早々にもチャンスを作り、ハンドリングよくボールを回してタカヤワが連続トライゲッターとなり、田村の安定したゴールキックでも着実に得点を重ね、前王者を追いつめた。

 だが、スピアーズはあきらめていなかった。
 キャプテンのCTB立川理道などが体を張ってチームを鼓舞し、今季から試験的ルールとして採用されている「20分レッドカード」で15人に戻ると、64分(後半24分)に反撃チャンスをつかみ、モールでゴールに迫ったあとボールを動かしてSO岸岡智樹が抜け、インゴール中央に持ち込み15-26とした。

 その後、ピンチもあったがLOのJD・シカリングがラインアウトスチールを連続成功するなど踏ん張り、75分には岸岡の「50:22キック」で敵陣深くへ。そして、反則を繰り返したイーグルスにイエローカードが提示されると、逆に数的有利となったスピアーズは77分、ラインアウトからモールで押し込み、アーリーエントリーの2023年度帝京大学主将、HO江良颯が確実にインゴールにグラウンディングし、FB島田悠平のコンバージョンも決まり、4点差となった。

 そして、リスタート後、スピアーズはボールキープで辛抱強く攻め上がり、自陣10メートルライン付近でアドバンテージを得ると、SO岸岡がチップキックを使って自らボールを確保し、好走でディフェンダーを2人かわして大きくゲイン、CTB立川らのサポートもついてクイックリサイクルからワイドにボールを動かし、FB島田、HO江良が正確につなぎ、WTB根塚洸雅が劇的な逆転トライを決めた。ホーンが鳴るなか島田のコンバージョン成功で締めくくり、スピアーズが歓喜となった。

 クボタスピアーズ船橋・東京ベイはこれで5勝5敗(総勝点26)、横浜キヤノンイーグルスは6勝4敗(総勝点29)となった。

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