今季の大学選手権決勝でぶつかった帝京大と明大の主将2人は、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに加入。3月15日には、リーグワン1部の公式戦へ揃ってベンチ入りする。
大学4年生の選手が所属先を離れる前にリーグワンの試合へ出られる、アーリーエントリーという制度による。
東京・秩父宮ラグビー場での第10節。優勝した帝京大を引っ張ったHOの江良颯が16番を、明大のCTBである廣瀬雄也が22番をつける。
まず語ったのは、今回、初めてメンバーに並んだ廣瀬。故障者の発生もあり巡ってきた機会に際し、言葉を選ぶ。
「思わぬ形でファーストキャップを得るチャンス。これをものにすることは大事だと思うし、出られない選手は何人もいる。グラウンドに立ったなら、自分がいままでやってきたことを試合で(発揮できるようにしたい)」
かたや江良は、2戦連続でのリザーブスタートだ。9日、東大阪市花園ラグビー場での第9節に後半途中から出場。トヨタヴェルブリッツを向こうに鋭い突進を重ねた。
手応えをつかみながら、反省を忘れない。
「(リーグワンの選手は)身体の大きさ、フィジカルで大学生とはけたが違っていて、練習中から『難しいな…』と感じた。試合には『どこまでできるかな。思い切って、チャレンジしよう』と臨みました。(突進などは)強みになるかなと自信がつきましたが、スクラム、ブレイクダウン(接点の攻防)では課題しかない」
特にスクラムの「課題」は「ヒットした後」の押し合いに定める。個人の姿勢、左右の選手とのつながりを再点検している。
「少しでもスピアーズにアジャストして、相手をドミネートしたいです」
ちなみに進路選択の折にはヴェルブリッツからも誘われていて、練習に参加したこともある。帝京大の副将で大阪桐蔭高でも同級生の奥井章仁はこのクラブを叩いており、巡り合わせを感じさせる。
27-31と惜敗した当日のことを、江良はこうも振り返る。
「スティーブ・ハンセンさん(総監督)、お世話になったFWコーチの方にも試合後にしゃべらせていただきました」
年代別代表で仲良くなった廣瀬と戦えることに関しては、かように意気込む。
「一緒にできるなんて思っていなかった。すごく嬉しいです。僕たちはルーキーですけど、引っ張っていかなければいけない」
ディフェンディングチャンピオンのスピアーズは、今シーズンここまで4勝5敗で12チーム中7位。4傑が進めるプレーオフ行きへ緊迫感が増すなか、今度の夜は横浜キヤノンイーグルスとぶつかる。
イーグルスは前年度、史上初の3位となり、いまも5位と4強争いの只中にある。元日本代表コーチングコーディネーターの沢木敬介監督が率いて4季目で、SOの田村優、CTBの梶村祐介は明大OBのBKで日本代表経験者だ。
江良は警戒する。
「沢木さんというコーチがいらっしゃって、いろんな所に(アタックの)オプションがある。しっかりと前を見て、周りとつながって、張り詰めてディフェンスをしないと、SOの田村さんが(穴を)狙ってくる」
廣瀬は「強いて言うなら…」と前置きして述べる。
「(持ち場に入れば)梶村さんと対面になる。他にも田村さん他、明大のOBがたくさんいる。いざその人たちの目の前に立った時、どれだけ差があるのか、何が通用するのかを噛みしめながら、その試合に出られることを楽しみたいです」
もちろん、接戦を勝ち切るためのピースにもなりたい。初陣を控える戦士は、「僕たちはチャンピオンチームかもしれないですけど、いまの状況はチャレンジャー。そこで起用してくれた首脳陣の期待に、応えないといけない。イーグルスどうこうというより、スピアーズがどういうラグビーをしたいかを勉強しながらやっていきたい」とも話した。