ラグビーリパブリック

開幕戦から出場の齊藤聖奈(チーフス・マナワ)と永田虹歩(ブルーズ・ウィメン)。第2戦で直接対決なるか

2024.03.09

チーフス・マナワでハードな日々を過ごす齊藤聖奈。日本代表キャップ40。(本人提供)



 ふたりとも16番のジャージーを着てベンチスタートだ。後半のスクラムで組み合うシーンがあるかもしれない。

 ニュージーランド(以下、NZ)『SUPER RUGBY AUPIKI』(女子/スーパーラグビー アウピキ)の舞台で、日本選手同士の対決が実現しそうだ。

 3月9日(土)、オークランドでチーフス・マナワとブルーズ・ウィメンが戦う。前者には齊藤聖奈が所属し、後者には永田虹歩がいる(ともに三重パールズ)。
 揃ってベンチスタートも、開幕から2戦続けてメンバー入りを果たした。

 ふたりは3月2日の開幕戦にも出場した。齊藤はハリケーンズ・ポウア戦(46-24)にNO8で先発し、永田はマタトゥ戦(24-17)の後半途中からピッチに立った。
 マナワとブルーズの両チームはプレシーズンマッチでも対戦している。しかしその時は、両選手の出場時間が重ならなかった。

 齊藤はNZに渡航し、約1か月の時間を過ごして開幕を迎えた。
 現地に到着してすぐに強化キャンプに参加。トレーニングはハードで、パン中心の食生活に体重が減った(74キロが70キロに)。
 しかしキャンプ終了後、自炊によって米食の生活となったことでコンディションが整ったという。

 チーフスは参加4チームの中でも、独自のスタイルにこだわっているチームだ。
 予定した型の通りに動くことをヨシとしない。試合中、瞬間瞬間の状況を見て、どう攻略するか考える。スペースのある場所と、そのアイデアを全員が伝え合い、プレーを遂行する。

 言葉の壁がある齊藤にとっては、ストラクチャーのない中で機能することは簡単ではなかった。
 開幕戦の先発出場が伝えられたのは試合の4日前。他選手たちより一日早かったのも、ヘッドコーチ(以下、HC)が語学力を配慮してくれたからだ。

 迎えた3月2日の初戦。緊張の第一波はハカを演じる時間だった。
 それを「みんなと何度も練習してきたので」と乗り切った齊藤は、思っていたより平常心でキックオフを迎えた。

 前述のように、瞬時の判断と共有コールを大事にするスタイルの中で奮闘した約60分(後半20分前までプレー)を振り返り、「自信を持って判断し、プレーする、という自分の強みを出し切るパフォーマンスではなかったと思います」と話す。

「ブラックファーンズ(女子NZ代表)の選手も多く、フィジカル面の強さ、スピード面のレベルがとても高いチームです。抜けた選手のサポートにつくのも大変」と言う。
 しかし、そこにあるのは深刻さより、高いレベルの中に身を置けている充実。アスリートして幸せだ。

 開幕2戦目は「HOでどれだけやれるか見てみたい」というHCの考えのもと、16番のジャージーを着てベンチスタートとなる。
「体の芯に響く」というフルコンタクトの練習がくり返される日々はハードも、帰国時に強さを増しているのは間違いない。

ブルーズ・ウィメンのチームメートと。後列左端が永田虹歩。日本代表キャップ16。(本人提供)

 ブルーズ・ウィメンの永田は、短い準備期間を経て開幕戦出場を果たした。
 チームが加入のニュースを出したのは2月21日。フロントローにケガ人が出て急きょ招集され、契約を結んだ。

 昨年はNZ国内選手権、NPCのオークランド代表として活躍した。そのときのパフォーマンスが評価されたからこそのスーパーラグビーとの契約だ。

 日本代表では2022年開催のワールドカップ(以下、W杯)まではHOでプレーも、それ以降は3番を任される。
 ブルーズでは2番として期待されている。

 開幕戦のメンバー入りが決まった時は嬉しかった。
「自分より周囲の選手たちが喜んでくれて」と笑顔になる。
 試合終盤の20分、出場機会を得た。「独特の空気に最初は緊張しましたが、ベンチで試合を見ているうちに落ち着けた」という。
 ピッチの上で体をぶつけた。ボールキャリーのシーンもあった。

 落ち着いてプレーできたのは、昨年NPCを経験しているのが大きい。接点の強度は分かっている。また、オークランド代表でともにプレーし仲間がブルーズにもいる。コミュニケーションが取りやすい。

 永田は2023年の春に国際武道大を卒業し、その後、NZに渡った。
 W杯の経験もある。しかし、特に強烈なインパクトが残っているのは、W杯直前に戦ったNZ代表との試合だ。12-95と完敗した。

 そんな経験を経て、「こんな相手と戦えるようになるには、NZの日常を知り、そこで戦ってみないといけない」と考えた。
 オークランドのクラブ(ポンソンビー)に所属し、州代表でプレー。帰国後は三重パールズに入団し、15人制のシーズンを戦った。経験値はどんどん増えている。

 現在81キロ(162センチ)。NZに行く前とあまり変わらないが、以前より大きく見えるのは、連日のウエートトレーニングと食事によるものだ。
 シーズンを戦い抜いたときには、さらにスケールの大きなプレーヤーとなっていそうだ。


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