ラグビーリパブリック

鍵は「準備」「詳細」。ヴェルブリッツ福田健太、アーロン・スミス加入にどう思った?

2024.03.01

今季これまで1試合先発を含め3試合出場、2トライを挙げているヴェルブリッツの福田健太 (C)JRLO


 クラブ関係者によると、次期主将候補のひとりだ。

 トヨタヴェルブリッツの福田健太は身長173センチ、体重80キロの27歳である。

 2018年には明大の船頭役として、クラブにとり22シーズンぶり13度目の大学日本一を達成。現在参戦中のリーグワン1部でも、強気の力走型SHとして存在感を発揮する。

 昨秋には、日本代表デビューも果たした。ワールドカップ・フランス大会のサモア代表戦で、後半35分に登場した。

 貴重な体験を無駄にはしない。世界で戦ったことで何をつかみ、何を意識するようになったかについてこう話した。

「テストマッチでチャンスを作り出すための(本番前)1週間の準備、詳細の詰め方は、リーグワンの時以上にやらなくてはいけないとわかりました。あとはSHとして、チームを正しい場所で戦わせるにはどんなプレーを選択するかについて学べました」

 ここでの「準備」「詳細」については、具体例も挙げた。

「(攻撃の起点となる)SHは関わるポジションが多い。ゲームで関係する全ての選手と、起こりうるシチュエーションを考えてスモールなミーティングをすることが大事になります。ラインアウトジャンパーとは『(捕球した球を)こういうところにデリバリーして(落として)欲しい』といったこと、HOとはスクラムのボールインの位置について、(司令塔の)SOとは『この点差ならどういうプレーを選択するか』に関して…。プレーの一貫性が求められるのは大前提ですが、SHにはそれ以外の役割もあると感じました」

 ヴェルブリッツは今季、SHに名手を招いた。ニュージーランド代表125キャップのアーロン・スミスだ。同じ位置の福田にとって、8歳上の熟練者から得られるものは大きい。ここでも「準備」「詳細」とのフレーズを用いた。

「いざ同じチームになってみると、グラウンド外での発言でどうチームをコントロールするかなど、リーダーミーティングに出るだけでも勉強になる。他の選手とのコミュニケーションの取り方、準備の詳細の詰め方、もちろんキック、パス、ゲームコントロールの技術も(学びになる)」

 ただ後塵を拝するだけではない。スミス獲得の報せを昨季途中に知った瞬間から、決意したことがある。

「メディアリリースの前に、GMさん(後藤彰友ゼネラルマネージャー)にSHだけを集められて、『来年、アーロンが入る』と伝えられました。率直に思ったことは、『僕が小さい頃から有名な選手とチームメイトになる。凄い世界だな』です。傍から見たら『出番が少なくなるんじゃないか』という声もあると思いますし、実際にそう言われるんですけど、僕はネガティブに捉えていません。最初からアーロンにポジションを譲る気はなくて、誰もが知っているスーパースターともしっかりコンペティション(競争)するつもりでした。簡単に『9番(スターター)で出てください』というような気持ちのいい状況を作ったら、アーロン自身の成長にもつながらない。切磋琢磨できれば」

 今年2月には、新生ナショナルチームのトレーニングスコッドにも名を連ねた(合宿は不参加)。今年度のリーグワンでもコンディションの整った第5節から登場し、第7節までの計3試合中1試合に先発している。

Exit mobile version