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もっとインパクトを。伊藤鐘平(東芝ブレイブルーパス東京)、「よく見ている人」のもとで兄弟ジャパンを目指す

2024.02.24

1997年5月1日生まれの26歳。ラインアウトのスキルも高い



 ひと桁の背番号を背負ったのは今季1試合だけ。2月24日の横浜キヤノンイーグルス戦でも20番を背負う。

 それでも伊藤鐘平は、開幕から6連勝と好調の東芝ブレイブルーパス東京を支える力となっている。
 ここまで途中出場がほとんど。インパクトプレーヤー、フィニッシャ—としてチームへの貢献度は高い。

 その証拠に、伊藤は2月上旬に福岡で実施された日本代表トレーニングスコッド合宿に招集された。
 エディー・ジョーンズ ヘッドコーチとの面談では、フィジカリティの高いプレーを評価していると伝えられた。

 自分自身でも、限られた時間の中でインパクトの強いプレーを出せている手応えはあった。
 ただ、代表トレーニングスコッドに呼ばれるとは思っていなかった。

 U20代表の経験はある。しかし、このカテゴリーに選出されるのは初めてだ。
「やっとスタートラインに立てたかな、という感じです。幅の広いスコッドですが、その中に自分の名前があった時はすごく嬉しかった」
「よく見ていてくれる」と、リーグワンの試合に足繁く通うHCに感謝する。

 兄・鐘史(現三重ホンダヒートFWコーチ)からも、「よく見てくれる人」のエディー評は聞いていた。
 だから、「(合宿時には)グラウンドでもミーティングでもアピールした方がいいとアドバイスを受けた」
 鐘史さんは2015年ワールドカップを、ジョーンズHCとともに戦った人。世界的指導者のいろんな顔を知っている。

 福岡合宿での2回のセッション後、「すごく身になるものでした」と話した。HCが求めるものを「ずっと走り続けること」と理解した。
「そこは自分の課題でもある。リーグ戦で学んだことを続けて、自分のプレーの引き出しを増やしていきたいと思っています」

 190センチ、105キロ。札幌山の手高校から京産大を経て、2020年からブレイブルーパスに加わった。
 学生時代、府中にやってきてからもLOでプレーすることがほとんどだった。
 しかしトッド・ブラックアダーHCの進言があり、昨季からFLでプレーすることが増えた。

「LOもバックローもプレーできるのが(自分の)強み。どちらのポジションでも常に力を出せるプレーヤーにならないと」

 ジョーンズHCにも評価されているコリジョンの強さは、昨年から5キロほど増量した肉体改造も理由のひとつだ。
「強さが増しました。でも、ワークレートは落ちていません」
 自信がみなぎる。

 ジョーンズHCもそこを認めているのだが注文も出た。
「評価してもらい、自分のプレーに間違いはないと自信になりましたが、エディーさんにボールキャリーもタックルも、もっと見たいと言われました」
 その言葉を聞き、再開するリーグワンでのモチベーションはさらに高まっている。

 好調なチームのバックロー争いは熾烈だ。
 リーチ マイケル主将やオールブラックスのシャノン・フリゼルなど、ワールドクラスの選手たちが並ぶ。

 そこにいるだけで成長できそうな環境も、自分から学びにいく姿勢も忘れない。
フリゼルにもボールキャリーについて教わった。
「激しくプレーしているだけではない。フットワークを使う意識を持って、と」

 なのに、試合になるとつい忘れ、「バーッといってしまう」と豪快に笑う。
 エディーは、よく見ている。力強さに細かなテクニックも加われば、評価はまた高まる。

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