手ごたえはあった。
2月10日、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場。横浜キヤノンイーグルスの嶋田直人は、ニュージーランドのブルーズとのクロスボーダーラグビー2024の一戦を22-57で落とした。総じて、相手のビッグプレーに後手を踏まされた。
もっとも局所的には鋭いタックル、モール防御、見事な連係で応戦。歩んできた道が間違っていなかったことも確かめられた。
「しっかりボールを動かして、皆がオプションになって、短いパスをつなぐ…。そういう僕たちが目指しているスタイルができたことはよかったです。(守りでは)ダブルタックルで押し返すシーンもありました。ただ、長いフェーズになってくると、自分たちががまんしきれない部分があった。自分たちにとってもいい時間、いいシーンをいかに増やせるかをチームで考えていきたいです」
元日本代表コーチングコーディネーターの沢木敬介監督が率いて4シーズン目となる今季。初のリーグワン4強入りを果たした前年度を超えるべく、スクラムの組み方、防御システムを見直してきた。かねて磨いてきた組織的な攻めを継続させながら、マイナーチェンジを図った。
組織力の高まりに手ごたえをつかむ。リーグ戦の第6節を前にSHのファフ・デクラーク、CTBのジェシー・クリエルといった現役南アフリカ代表勢がけがで離脱も、オープンサイドFLでリーダー格の嶋田はこう強調する。
「そこ(一定の主力)に頼るような組織作りは、していないです。沢木さんが来る前はどうしても外国人選手に頼っていた部分もあったと思いますが、過去3年で個人もチームもレベルアップした。(2人の)代わりに出る選手たちにとってはチャンス。実際、(デクラークの位置で入った)荒井(康植)、山菅(一史)選手、天野(寿紀)選手はそれぞれ持ち味を出しているし、(クリエルの穴を埋める)田畑(凌)選手もめちゃくちゃいい」
身長181センチ、体重99キロの32歳。運動量、接点に絡む嗅覚やしぶとさで組織を円滑に回す。出身の立命館大で「中学、高校の体育の教員免許」を得ており、セカンドキャリアのことも頭にある。
ただしゴールテープを切るのは数年先のことだとし、決断の際は事前に伝えるつもりだと話した。
「残り少ない現役生活をいい状態にできるように…という気持ちです」
24日にはレギュラーシーズンを再開させる。東京・秩父宮ラグビー場での第7節で、ここまで全勝の東芝ブレイブルーパス東京から5勝目をもぎ取りたい。