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念願のジャパン入りへあと一歩。ブルーレヴズのマロ・ツイタマは「恩返ししたい」

2024.02.22

2月上旬の男子15人制トレーニングスコッド福岡合宿に参加したマロ・ツイタマ(撮影:松本かおり)


 やっと出走ゲートに入った。

 静岡ブルーレヴズ副将のマロ・ツイタマは、今季来日5シーズン目へ突入。規定にならい、この国の代表資格獲得を視野に入れる。加盟するジャパンラグビーリーグワンでは、外国人枠外でプレーできる「カテゴリーA」の区分に属する。

 2月6日からの2日間は、日本代表のトレーニングスコッド福岡合宿へ加わった。初日の練習後に語った。

「最初は緊張もありましたが、楽しみの気持ちがどんどん湧き出てきた。トップレベルのラグビーに一歩、足を踏み入れた実感があります。毎日、小さなことを積み重ね、チャンスが来たらそれをつかみたいです」

 身長182センチ、体重91キロ。サモアにルーツを持つ27歳は、かつて拠点だったニュージーランドでウェリントン代表になった。地域別選手権で実績を積んだ。

 もっとも、国際リーグのスーパーラグビーに絡むのは難しかった。2019年、日本行きを決心。現所属先の前身であるヤマハ発動機ジュビロへ入ると、目標を作った。

 日本代表になることだ。

 この競技では、異国でも5年以上の継続居住が認められれば代表入りを狙える。

「ニュージーランドでは、スーパーラグビーで安定した契約をなかなか得られない状況でした。ヤマハにオファーもらった時は、ぜひという気持ちでした。若いニュージーランダーとしてこの国に来て、ラグビーをする機会を与えてもらった。日本の文化も人も好きですので、恩返ししたい気持ちがあります」

 2020年以降のウイルス禍で母国へ帰りづらくなったことも、あえてポジティブに捉える。

「エイジビリティ(代表資格)が手に入るまで時間の経過も必要でしたが、コロナの期間で日本にとどまる時もあったので、それも結果的には助けになったと思っています」

 タッチライン際のWTBとして強さ、速さ、ばねを活かす。前年度は代表経験のない海外出身者が属する「カテゴリーB」の扱いながら、10戦先発で9トライ。試合に登録するメンバーの23名中17名を「カテゴリーA」としなくてはならないリーグのレギュレーションを鑑みれば、時の首脳陣に信頼されていたのが伝わる。

 体制を刷新して迎えた今季は、「カテゴリーA」へジョインしたうえ副将にもなった。休止前の6試合では4度、ゴールラインを割り、全チーム中5位となる29度のディフェンス突破も記録。キックの蹴り合いでも存在感を示す。ナショナルチームへ近づく。

 2027年のワールドカップ・オーストラリア大会へは「その頃には31 歳。どうなっているかはわかりません」と慎重な構えも、念願の代表デビューへは意欲的だ。アピールポイントを聞かれれば、「ただただ、自分を表現する」と応じた。

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