第一報を聞いた時は、喜びと驚きが入り混じった感情が湧き上がった。
三重ホンダヒートで3季続けて主将を務める古田凌(ふるた・りょう)は、2月上旬に福岡・JAPAN BASEでおこなわれた日本代表トレーニングスコッド合宿に招集された。
小3の時、京都・亀岡ラグビースクールに入った(中学は亀岡中でプレー)。日本代表は幼い頃からの憧れだ。
だから今回、トレーニングスコッドとはいえ、そこに自分の名があったことで冒頭のような気持ちになった。
京都成章高校時代、高校日本代表に選出されたことはある。
しかし帝京大を経てヒートに入ってからは、サクラのジャージーとは無縁だった。
今季のリーグワンでは、開幕からの全6試合にすべて出場している。
7番を背負い、全戦で80分ピッチに立ち続けた。正真正銘のハードワーカーだ。
今季からディビジョン1に加わったチームは6戦全敗の最下位と苦しんでいる。
そんな状況の中でエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは古田を呼んだ
「一人ひとりを見てくれている」
そう感じ、嬉しかった。
そして、「ヒートの代表としていいパフォーマンスを出したい」の覚悟を持って合宿に臨んだ。
南アフリカやアルゼンチンなど、他国代表の選手たちは在籍しているけれど、現在、日本代表はいない。
だから今回の古田の招集を、チームも仲間も家族も喜んだ。
その笑顔が、新たなエナジーになる。
今季の自身のパフォーマンスを振り返り、「運動量とタックル。特にタックルは成功率が高かったので、そのあたりを評価してもらったのかな」と話した。
85-90パーセントの確率(チーム内のスタッツによる)でターゲットを仕留める姿が、指揮官の目にとまったか。
以前と比べ、特別にどこかが変わったわけではない。継続の結果だ。「自分の強みを、より伸ばしていこうと思ってきた」と言う。
183センチ、99キロと、国際舞台を戦うバックローとしては小柄な部類。
もっと運動量を増やして勝負したい。「はやく動き、判断する」の意識は、エディーの哲学に合致する。
代表スコッド合宿での初セッションを終えたとき、「初めてのことで、少しかたくなった」と言った。
HCの言葉を意識しながら動いた。
世界的コーチと言われる人の指導について、「一人ひとりに対していいアプローチをされる方だな、と思いました」との感触を得た。
28歳。いくらでも時間が残っているわけではない。
「フレッシュな気持ちを持ちつつ、ガツガツいきたい」と燃える。
うまくプレーするのではなく。動き続ける。接点のファイトでは絶対に負けない。闘志剥き出しの姿勢を隠すつもりはない。
2月17日に再開するリーグワンでも、意欲的にプレーしてアピールを続けたい。
それは、ヒートの上昇にも直結する。
「自分の良さは、自分しか出せない」の言葉は決意表明に聞こえる。
チームのホームページ、『自分の性格』の欄には、「芯がある」とあった。