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「暮らしていた、二子玉川を歩いてみました」。ブルーズWTBクラーク、ラグビー・リーグでの練習の効果も出て3トライ

2024.02.11

3トライを奪い、仕上がりの良さをアピールしたケイレブ・クラーク。NZ代表20キャップ。(撮影/松本かおり)



 異国の地での思い出は、どうしていつまでも色濃いままなのだろう。
 ブルーズ(スーパーラグビー・パシフィック)に所属するWTBケイレブ・クラークも、例外ではない。
 日本を第2の母国と言う。

 ブルーズは、ザ・クロスボーダーラグビーの第2戦、横浜キヤノンイーグルス戦を2月10日に戦った(ニッパツ三ツ沢)。

 2月3日の東京サントリーサンゴリアス戦には43-7と快勝した。
 イーグルスにも57-22と勝利し、チームはモメンタムを得てシーズン開幕を迎えることができそうだ。

 チームを率いるヴァーン・コッター ヘッドコーチ(以下、HC)も、「若い選手たちが2試合で経験を積むことができてよかった」と笑顔だった。

 イーグルス戦には、初戦には出場しなかったクラークが出場した。
 今回の試合が、昨秋のワールドカップ(以下、W杯)以来の実戦だった。

 フランスでおこなわれた同大会では2試合だけの出場だった。オールブラックスは、新しくスコット・ロバートソンHCを迎え、新体制で再スタートを切る。
 これまで代表に選ばれていた選手たちも、あらためて信頼を得る必要がある。

 ブルーズも、今季がコッターHC体制1年目。クラークにとっては、こちらでも新指揮官に力を示したい一戦だった。
 そんな状況の中で背番号11は3トライを挙げてみせた。

 前半14分には先制トライ。同35分のものは、キックパスに対して飛び込んだ。インゴールの端ぎりぎりで受けた。
 後半最初の得点も、この人だった。

 コッターHCは「オフシーズンにハードなトレーニングを積んでさらにスキルを高め、体も絞ってきた結果。そして試合中も、ハードワークをすれば結果を出せるというお手本を見せてくれた」と好ランナーを称えた。

 試合前日クラークは、前週のチームの勝利を外から見つめた感想を「持っているスキルを出して勝った試合」と話し、仲間のパフォーマンスを評価した。
 イーグルス戦には、「(チームが作った)土台の上にさらに積み上げていくようなプレーをしたい」と言って臨んだ。

父・エロニさん(左)もオールブラックス。かつてリコーでプレーした。(Getty Images)

 W杯を終えた後、クラークはラグビー・リーグ(13人制)の強豪のひとつであるサウスシドニー・ラビトスの練習に加わり、新シーズンへの準備を進めた。

 W杯をはじめ、満足いく実績を残せなかった2023年を振り返り、さらなる成長が不可欠と考えた。
「ブルーズでのプレーも7シーズン目。これまでと同じことをしていてはダメだと思ったので、ラビトスの中に身を置くことにしたんです」

 体作りの意識が高まりシャープな体躯となったことは、姿を見ても分かる。
 スキル面も磨かれた。本人は、この日の2本目のトライを振り返り、「キックをキャッチしたのは、まさにラビトスで汗を流した成果」と話した。

 他のオールブラックス選手たちが、(NZ協会の規定により)なかなかプレシーズンマッチでプレーしない中、クラークは、この日の出場をHCに志願してピッチに立った(後半23分まで)。

「3つとも、周囲がいいプレーをしてくれたから取れたトライ」と仲間のプレーに感謝するも、巻き返しを図るシーズンの最初に好結果を残し、気持ちよさそうだった。

 父・エロニさんもオールブラックスのキャップ10を持つ。日本のリコー(現・リコーブラックラムズ東京)でもプレーした名選手だった。
 ケイレブ自身も3歳から日本で暮らし、7歳のときにニュージーランドに戻った。

 今回のツアー中、少年時代の記憶をたどり、暮らしていた二子玉川へ足を運んだ。
「水曜日(2月7日)、子どもの頃に住んでいたあたりを歩きました。近所の友だちと遊んでいた場所や道が、記憶のままでした。家の色も同じでした。置いていたゴミこそなくなっていましたが、本当に懐かしかった」と愉快そうに話した。

 昔に戻った時間。思い出の道を歩きながら家族に電話をかけ、動画を見せながらブラックラムズのグラウンドまで歩いた。
「父も喜んでくれて、懐かしいな、恋しいなって言っていました」

 いつか日本でプレーしたいと言った。
 まだ24歳。オールブラックスとして、まだまだキャップも重ねたい。ラグビー・リーグにも興味がある。たくさんの夢を持って生きている。


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