抜擢だ。
京産大ラグビー部1年の石橋チューカが、日本代表のトレーニングスコッド合宿へ参加する。
8年ぶりに再登板のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが最初におこなうこのキャンプは、2月6日から2日間、福岡で開かれる。正規の代表活動とは異なるが、プロジェクトの第一歩に映る。
その時期に開催中のクロスボーダーラグビーへ挑む国内リーグワン上位4強勢以外のチームから、36名が選ばれた。そのうち8名は大学生だった。
なかでも石橋は、身長190センチ、体重95キロと恵まれた体格にあって運動量、球を持った際のしなやかさが光る。報徳学園高3年時は全国大会で準優勝し、高校日本代表にもなっている。
「まだ大学のことで精いっぱい。そこまで考えていないです」
本人がこう話したのは昨年の大みそか。大学選手権の準決勝を2日後に控えるなか、やがてリストアップされる20歳以下日本代表候補としての活動について聞かれた時のことだ。
加盟する関西大学Aリーグで主力を張るなか「高校と比べてフィジカルがハードになってきている。そこで通用するか、不安なままやることも多かった」。国際舞台で戦うことへ、現実味を持てずにいたのだろう。
もっとも、「成長していると思って毎日、練習している。一日一日の継続が力になると思っています」。ハードワークを貴ぶ文化に惹かれて京産大へ入ってから、全体練習後には長時間のスクラムセッションに没頭した。
コーチ陣やチームメイトから増量を勧められるなか、ウェイトトレーニングにも注力した。持ち上げられる重量は日増しに高まり、自身のサイズも「5~6キロ」ほど増えた。
「厳しい環境下でできることに感謝」
ポジションは2列目のLO。将来的には高校3年時にプレーしたFWの第3列を目指したいようだが、「まずLOで力をつけ、FL、NO8をしていきたい」。いまの働き場でスクラムでのプッシュ、グラウンド中央での突進、サポートといった「力仕事」を全うし、より頑健になりたい。
他方、こうも述べる。
「まだまだ体重差で負けることが多い。そこでどう勝つかを考えると、低さと速さ。これを常に意識しています」
力をつけた。さらに力をつけたい。同時に、力だけに頼らない自らのスタイルも模索したい。