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【クロスボーダー】埼玉WK 38-14 チーフス。ワイルドナイツがリーグワン基準の高さ見せる完勝

2024.02.04

タックルに入るLOルード・デヤハーとPR稲垣啓太。ディフェンスで勝機を掴むスタイルで勝ち切った(写真:松本かおり)

 守り抜いて逆襲。タックル後の判断と密集でのしつこさ。勝負どころを押さえる集団の集中力。すべてワイルドナイツの「ふだんの強み」が発揮され勝ち切った一戦だった。

 2月4日、リーグワンの国際試合「クロスボーダーラグビー」第2戦が熊谷ラグビー場でおこなわれ、埼玉パナソニックワイルドナイツが、ギャラガー・チーフス(ニュージーランド=NZ)を38-14で破った(前半14-0)。

南半球最高峰リーグであるスーパーラグビーパシフィック(SR)の昨季ファイナリスト(準優勝チーム)を向こうに、リーグワン側が高めた実力を見せた。メンバーは双方ともほぼベスト布陣。SR側はシーズン前のチームづくりの時期にあたるとはいえ、日本ラグビーの歴史に残る勝利となった。

 ワイルドナイツは前半に二つのトライを挙げた。いずれも、身体能力に富む相手のアタックを守って、はね返しての反撃が起点だ。前半15分のトライは相手陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込んでHO坂手淳史が離脱、左中間に飛び込んだ(G成功で7-0)。前半22分には、自陣でのディフェンスからボールを得て、一気に外のスペースでボールを運ぶ。相手を背走させるキックから、FB野口竜司が強タックルで相手ゴール前に拠点ができる。ディフェンスで押し込んだラックのこぼれ球を押さえて、SH小山大輝が追撃のトライを決めた(G成功で14-0)。

 後半、エンジンを吹かして反撃を期すチーフス。ワイルドナイツが見せたのはいつものブルーのジャージーの強さ、しつこさ、賢さだ。

 後半11分のPGで17-0とした後、すぐにチーフスの電光石火のトライを浴びるが(17-7)、地元ファンの声援を背にしてここから踏ん張りを見せる。スクラムで相手反則を引き出し、後半出場のHO堀江翔太がジャッカルで相手反則を呼び込むなど、逆に相手にプレッシャーをかけた。

 後半19分にはチーフスのPRルーベン・オニールにイエローカードが提示される。ワイルドナイツは相手よりも1人多い時間帯(10分間)に中盤をアタックで突破する。チーフスのお株を奪う縦のつなぎと、持ち前の多彩なライン攻撃で後半24分にWTBマリカ・コロインベテが右中間インゴールへ。松田力也のG決まって24-7に。残り14分で17点差として、勝利への道筋を立てた。

 相手が15人に戻ってもワイルドナイツ優位は変わらなかった。後半31分にマーク・アボットが決めた、勝利を決定づけたトライは、FLラクラン・ボーシェーの目覚ましいサポート、突破、アシストによるものだ。ラクラン・ボーシェーはかつてチーフスで長くプレーした選手。相手方の同じポジションで実弟のケイラムが主将を務める古巣を相手に、決定的な仕事ぶりを見せつけた(G決まって31-7に)。

 その後、一つずつトライを取り合って(埼玉WKのトライ&Gは山沢京平)最終スコアは38-14。国内リーグを全勝で走るパナソニック、シーズン中に仕掛けたフルメンバーのチャレンジが、大きな花を咲かせた。

 チーフスは2月10日に秩父宮ラグビー場で、昨季リーグワン王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦する。

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