ラグビーリパブリック

「リッチー・モウンガとの王国司令塔対決!」その見立てにボーデン・バレットは…。

2024.01.26

ゴールキックでも魅せるトヨタヴェルブリッツのボーデン・バレット(Photo: Getty Images)


 世界的なスター選手が、オンラインでつながる報道陣に「ぜひ、(SNSで)ダイレクトメッセージを」と繰り返した。

 ボーデン・バレット。オールブラックスことラグビーのニュージーランド代表として、123ものテストマッチに出てきた32歳だ。今季はトヨタヴェルブリッツに1シーズン限り在籍する。昨年12月からのリーグワン1部で、SOとして美技を披露する。

 プライベートでも、家族でこの国に親しむ。

 トップリーグ時代の2021年には現・東京サントリーサンゴリアスに在籍も、ウイルス禍の只中にあった。あちこちへ出かけられなかったのを残念がっていた。

 今回は、直近のオフに大阪観光を楽しんでいる。以後、札幌、奈良、福岡への訪問を検討する。最近は拠点の愛知県内で連日、厳しい寒さに見舞われるなか、「『一蘭』を食べるにはうってつけ」。こってりしたラーメンのチェーン店が気に入った。こうも続ける。

「日本では寒さをしのぐための食べ物が多くてひとつに絞り切れないですが、まだしゃぶしゃぶを食べたことがないので、ぜひ。おいしいところがあれば、ダイレクトメッセージで!」

 NO8の姫野和樹主将は、「ボーディ」ことバレットの印象を語る。

「ここで一緒にやるまでは、クールで、知的で、スマートで、格好よくて…というイメージが強かったです。ただ、いま思うのは、ボーディは非常に愛情深く、情熱があり、内に秘めたものを持っていると感じます。ボーデン・バレットという選手じゃなく、人として好きですね」

 現在3勝2敗。豊田スタジアムでホストとして迎える27日の第6節では、ここまで全勝の東芝ブレイブルーパス東京とぶつかる。向こうは。バレットと同じニュージーランド代表のリッチー・モウンガを擁する。正司令塔を担う。

 直近のワールドカップでは最後尾のFBだったバレットは、今回、腹部のコンディション不良を乗り越え2試合ぶりにSOで先発。今度のゲームは、オールブラックスのSO対決として注目されがちだ。姫野は意気込む。

「ファンとして考えるとすごいことですよね。日本でオールブラックスのSOが戦うのは。ただヴェルブリッツ側から言わせていただくと、ボーディが最高のSOだと信じていますし、そう(証明)したい。いかにボーディを楽にさせてあげられるかは、僕たちの奮闘にかかっている。ボーディのゲームコントロールで僕たちを活かして欲しいとも思っていますが、僕たちもボーディの求めるものを全うしたいです」

 その言葉に、バレット本人は「ユーモアあふれるコメントですね」。競技の本質に沿って付け足す。

「今回の対戦ではきっと個人の名前が話題に挙がるでしょうけど、私たちはそうした見方をしていません。自分たちのゲームプラン(の遂行)に重きを置いています。モウンガは古くからの友人で、対戦は楽しみです。彼も家族を連れて来日し、仲間との時間や日本での経験を満喫していると思う。2人とも、チームのためにベストを尽くすと考えています」

 今週から、オールブラックスの指揮官として両者を指導してきたスティーブ・ハンセンがヴェルブリッツへ合流した。

 クラブの総監督として練習量の調整や個別面談に力を注いでおり、バレットも「オーガナイザーに徹するだけではなく、直感に基づき自らプレーに関わるようにも言われ、その方法について助言されています」。ハンセンの存在をヴェルブリッツ入りのきっかけにしたこの人は、自分らしさを発揮しながら組織で勝ちたいと強調する。

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