厳しい寒さに直面している。遠方からオンラインでつながる報道陣にも、その様子を伝える。
「気候はコントロールできない。たくさん服を着て、(練習前は)早めにグラウンドに出ることを心がけています。ベテラン選手は、練習前には風呂に入って身体を温めています」
小野航大。日本製鉄釜石シーウェイブスの主将だ。1月24日、チームの坂下功正総監督、須田康夫ヘッドコーチらと、本拠地のある岩手県内で会見した。
12月中旬に開幕したジャパンラグビーリーグワン2部での4試合の振り返り、2月4日の第5節以降を展望する。
ここまで未勝利ながら、現場を仕切る須田いわく「フィジカルバトルでは選手が頑張っている。大きな選手に当たり負けしていない部分がある」。ぶつかり合いで手ごたえがあり、エリア管理と圧力下のスキルを見直せば白星に近づくだろうと見る。WTBの小野もこうだ。
「0勝4敗。日頃から応援してくださるファン、サポーターの皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、チームと通用している部分もかなりある。80分通して強みを発揮できる組み立て、ゲームコントロールができれば、勝ち点を積み重ねられる。そう確信しているメンバーが多いです」
国内リーグが現在の形となって3季。参加する選手やコーチのほとんどが、試合の質は高まっていると証言する。今季は2部にもトップ級のチームが並ぶ。NTTグループが総力を結集させる浦安D-Rocks、前年度まで1部のNECグリーンロケッツ東葛が加盟していて、それぞれ世界的選手を擁する。
シーウェイブスは旧トップリーグ時代、下部のトップチャレンジに挑んでいた。その頃といまとで、戦う舞台のタフさはどう変わったか。
小野が答える。
「トップリーグ時代よりもレベルが上がっている。特にフィジカル。試合後、特に連戦後のダメージ、移動の難しさもあり、身体にかかる負担がかなり増えています」
もっとも、その現実を受け入れてもいる。岩手県における高校年代の競技人口が減っているのを踏まえ、こうも述べる。
「ここ(2部)で勝つことの難しさを感じています。ただ、結果を出して1部にチャレンジするのがチームの目標です。それと、僕たちが東北の皆様にラグビーをする姿をお見せして、ラグビーをしたいと思う人が増えるようにしたいです」
須田もうなずく。
「各国の代表選手を補強するチームも多い。釜石は、そうしたなかで戦って2部をキープしている。その意味では、ステップアップしていると感じます。今後もチャレンジしたい。それが、釜石の醍醐味です」
シーウェイブスには近隣10社の社員選手とクラブで雇用するプロ選手が在籍。責任企業のバックアップがある他クラブと異なり、社員選手の業務免除やサラリーの上乗せは期待しづらい。
坂下総監督は「(選手を雇用する)各社にお願いして練習時間を確保してもらうなどのことは現在もしていますが、これからはもっとしていかなければいけない」と、強化を促すつもりだ。