リーグワン参入へ、選手たち自身でクリアできるハードルは越えた。
1月21日、3地域社会人リーグ順位決定戦の決勝戦が埼玉・ヤクルト戸田総合グラウンドでおこなわれた。
対戦したのは、トップイーストリーグAグループの1位・ヤクルト レビンズと同2位のセコムラガッツ。
両チームとも同順位決定戦を勝ち上がり、頂上決戦に臨んだ。
リーグ戦では2戦してヤクルトが2勝の成績を残したが、この日勝利を手にしたのはセコム。
20-7のスコアで勝ち、3地域社会人チャンピオンの座に就いた。
小雨の降る中での試合だった。
試合序盤は、お互いにキックで敵陣に入ろうとする展開。一進一退の攻防が続いた。
勝者となったセコムは、前半途中から見せた高い集中力で勝利をつかんだ。
80分を通して安定した力を見せたのはFW。特にスクラムで圧力をかけ、相手の反則を何度も誘った。
先制は前半22分だった。自陣でのスクラムから攻めたヤクルトにプレッシャーをかけた。
ヤクルトSOニック・イブミーのキックをチャージしたのは10番のダニエル・ウェイトだ。
今季加入したニュージーランダー(タラナキ代表)はチャージして転がったボールを自ら拾い、インゴール左中間に置いた。
コンバージョンキックも決め、7-0とした。
ウェイトは、その後も高いスキルを見せた。
29分、31分とPGで加点する。31分のものは、ウェイトのキックを組織的にチェイスし、ターンオーバーして相手反則を誘った後に決めたものだった。
13-0で迎えた前半39分にもウェイトのキックが冴えた。
敵陣深くに蹴り込んだところからチャンスを迎える。ヤクルトのミスでスクラムを得ると、フェーズを重ねた。
トライラインに迫り、FW、BK一体となったアタックを繰り返し、最後はブレイクダウンのサイドをSH髙島理久也が走った。
Gも決まり、20-0でハーフタイムを迎えた。
後半に入り、ヤクルトも反撃に転じた。
立ち上がりから積極的にボールを動かす。しかし、肝心なところでハンドリングエラーが出て好機を逃す。そんなシーンは80分続いた。
それでも14分、インターセプトから敵陣に入ると、スクラムから攻めた。
左に展開した後、右へ。そこへタテに走り込んできたPR野﨑伊織がインゴールに入った。Gも決まった。
しかし、20-7とセコムリードのスコアは最後まで変わらなかった。
終盤、セコムの結束はディフェンス面によく表れた。一の矢が刺さると、一気に仲間が寄り、押す。
最高の雰囲気でシーズンラストゲームを終えた。
FL飯田光紀主将は、「(今季2戦負けているので)今日は気持ちで負けないように、それだけを心掛けました。試合の入りの部分からずっと上回れたから勝てました」と試合を振り返った。
スコット・ピアス ヘッドコーチは、「リーグワン参入に向けて、今日勝つことはとても大事と、みんな分かっていた」と言った。
「ヤクルトにリーグ戦で負けた2試合は規律がダメだった。とにかく規律をしっかりしようと選手には伝えました。(それでも今日は)14もの反則をとられましたが、前半はパーフェクト(4)でした」
同HCは、仕事をしながら活動する選手たちを称え、それをサポートする会社への感謝の気持ちも口にした。
この日は尾関一郎社長の姿もグラウンドにあった。同社長は試合後の円陣で、「ナイスゲームでした。1年間やってきたことは間違いなかった。まだまだここがスタート地点。今日はおいしい酒を飲んで、またがんばっていこう」と選手たちを労った。
リーグワン参入実現は、ホストスタジアムの確保など、環境整備次第だろう。
かつてトップリーグに所属していたラガッツは、着実に階段を昇っている。