全国大学選手権の準々決勝で早稲田大を65-28で破った京産大。10度目の4強入りを決め、1月2日には初の決勝進出を目指す。相手は対抗戦2位の明治大だ。
「めちゃくちゃ緊張してます。でも、楽しみな気持ちもある」
3年生の川口新太が正直な思いを話す。大一番で背番号3を託された。今季初先発だ。
今季の右PRは主にヴェア・タモエフォラウが担っていたが、準決勝は欠場を余儀なくされた。準々決勝で脳震盪を患ったためだ(後半21分に負傷交代)。
川口は気遣う。
「ヴェアさんが大きなケガでなくて良かったです。決勝には出られそうなので、頑張って決勝につなぎたい。ただ、ヴェアさんのためだけではなくて、僕は皓正さん(三木主将)にもとてもお世話になっているし、(メンバーに)選ばれなかった4回生もすごく応援してくれる。”みんな”で決勝に行きたいです」
185㌢、127㌔と恵まれた体躯を生かしたスクラムが武器だ。廣瀬佳司監督も「期待するのはスクラムだけ」と笑顔で言う。
「田倉さんいわく爆発力は(ヴェアよりも)川口の方がある」
東海大仰星出身。京産大に進んだのは、元木由記雄GMからラブコールを受けたからだ。
「コロナ真っ只中で家にいる時、毎朝電話をいただいて。一緒に頑張ろうと。そんなこと言われたことなかったのでありがたかった。3番が軸になる大学で頑張ろうかなと」
京産大では背番号「3」はエースナンバーと言われる。川口も、その重責を理解する。
「セットプレーは京産が自分たちを魅せられる一番の場所。叶翔さん(平野・現三重H)や圭汰さん(木村・現ルリーロ福岡)は『試合に負けてもスクラムで負けてはいけない』と言われるくらいチームとして重要にしてきた。だから、何がなんでも圧倒したい」
今季は「悔しい時期の多いシーズンだった」と振り返る。同期の西崎海人とのポジション争いに敗れただけでなく、脳震盪や腰のヘルニア、インフルエンザなど度重なるケガと病気にも苦しんでいた。出番はリーグ終盤の6節以降に限られた(2試合と選手権準々決勝/いずれもリザーブ)。
それでも、「腐らずにやってこられた」と自負する。
「シーズン終盤にはチームの中では誰にも負けないスクラムを組めるようになったと思う。去年よりも強くなってる自信があります」
早稲田戦のようにスクラムで圧倒し、流れを引き寄せたい。