ラグビーリパブリック

「世界に、ボールと、自分だけ」。帝京大・小村真也、独自の感性で制空権握る。

2023.12.23

11月の早大戦で躍動する帝京大の小村真也(撮影:松本かおり)


 空の上に自分だけの「世界」を作る。小村真也の感性だ。

「キックが上がった瞬間から、相手のことは考えないようにしていて。世界に、ボールと、自分だけ…と」
 
 ラグビーでのハイボールキャッチの話だ。高く蹴り上げられた弾道を空中で捕るプレーを、帝京大3年の小村は得意としている。相手に競り勝ちボールを得られるのは、相手がいないものとして跳んでいるからだ。

 周りからの声を参考に防御と自分との距離感を測り、「気持ち、ちょっと、届かへんかな、くらいのところ」から「トップスピードでジャンプ」。その瞬間には、「ボールと、自分だけ」の「世界」に没入している。

「自分の持っている力の以上を出せるかな、と感じます」

 京都府出身の21歳。幼少期は両親の影響でバスケットにも親しみ、高校時代はニュージーランドのハミルトンボーイズ高で過ごした。

 身長180センチ、体重89キロというサイズ以上の存在感は、空中戦のほか連続攻撃でも発揮される。スペースへのキックやオフロードパスも得意で、1年時から司令塔のSO、最後尾のFB、さらに端側のWTBと複数のポジションでプレーする。

「大学に入っていろんなポジションをやらせてもらったので、いろんな視野を持てる。幅の広い選手になりたいです」

 視線の先には、世界の舞台がある。今秋のラグビーワールドカップ・フランス大会に触れ、「日本代表、かっこいいな、って」。惜しくも8強入りを逃した日本代表に、自分も加わりたい。

 近年の日本代表には、ハイボールの競り合いを不得手としている節があった。捕球の得意な若手が期待されるのは、自然な流れだ。小村は言う。

「外国人は背も高いので難しいところもあるとは思いますが、ハイボールにずっとチャレンジしていれば、自分にも(代表入りへの)チャンスがあるかなと。相手に関係なく、自分と、ボールだけという気持ちで、競りにいく」

 23日からは大学選手権に参戦。入学以来の3連覇達成を、国際舞台への滑走路としたい。

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