11月24日。リーグワンのメディアカンファレンスに、豊田自動織機シャトルズ愛知の顔として登場したのは松岡大和だった。3季前に天理大を日本一に導いたキャプテンだ。
シャトルズはディビジョン2に昇格した1年目の昨季、ディビジョン1との入替戦に臨める3位に入った。しかし、三菱重工相模原ダイナボアーズに21-59、14-43と連敗。トップディビジョンとの差を痛感させられた。
「D2優勝を目指す中でああいう結果になってしまった。準備段階でもっと詰めていけたのではないかという反省がありました」
普段の練習でもっと高め合えたのではないか。選手間でもっと話し合えたのではないか。
シーズンを迎えるまでの「準備期間」をより大切にした。
「このプレシーズンではどこが相手でも”勝ち切る”ことに重点を置いてきました。トップ4のチームと試合をしても、良い試合だったね、では終わらせませんでした」
プレシーズンマッチでは、ディビジョン1の上位チームと体を当て続けた。
10月21日は埼玉ワイルドナイツと戦い21-55で敗れ、翌週の東京サンゴリアス戦は33-52で連敗した。しかし、前半は21-21と互角に渡り合えた。
そして2週後の東芝ブレイブルーパス東京戦では29-24と白星を挙げたのだ。
3試合すべてに出場(2試合NO8で先発)した松岡は言う。
「毎試合、反省を次に活かせました。サントリー戦は後半に突き放されたけど、そこを修正ができて東芝には勝ち切れました」
相手がベストメンバーではなかったとはいえ、チームにはポジティブな空気が流れている。「(チームは)ものすごく良い状態」と松岡の笑みがこぼれる。
「勝って自信をつけることはチームとして本当に良いことです。この良い状態を、良い流れにまで持っていきたいですね」
シャトルズはこの準備期間で、昨季とは異なる戦術を落とし込んできた。より手堅く勝利を目指すようだ。
「昨季はどの地域からも攻めていたけど、今年は(SOフレディー)バーンズが帰ってきてキックの重要性をチームに落とし込んでくれた。しっかりエリアを取ってから、我慢強いディフェンスをしようと」
そうなれば、フランカーの松岡の出番も増えそうだ。昨季は7試合(先発5)に出場したタックラーは意気込む。
「体をぶつけまくりたいです」
秋には仲間の刺激も受けた。天理大で苦楽を共にしたシオサイア・フィフィタ(現・トヨタV)が、日本代表としてアルゼンチン戦に先発したのだ。
松岡は友の活躍を静かに見守っていたという。
「連絡は取ってないです。彼もいっぱいいっぱいだったと思うし、あんまりこっちから連絡取っても、と思いまして」
折しも、松岡にとっては「自信を失った」時期だった。
「サントリー戦で、フィジカルでかなりやられてしまった。そこを強化してきたつもりだったのでショックでした」
177㌢、95㌔。筋骨隆々の海外出身選手がひしめくバックローにあっては小柄に映る。
「僕みたいな小さなフランカーがどう生きていくか。外国人選手と同じプレーをしても通用しない。小さいことをどう強みに生かすかを、コーチ陣と話して学んでいる最中です」
意識するのは、先手を取ること。相手よりも先に動いて間合いを詰めたい。相手から自由を奪いたい。
「まだまだなところはあります。でも、この状況をどう打開していくかを、いまは楽しめています」
昨季は第6節からの登場だったが、今季は開幕からメンバー入りを果たした(12月10日/釜石SW戦)。背番号19をつけ、試合途中から勢いをつける。