昨季は大学NO1司令塔と評された高本幹也が、ついにリーグワンの舞台に登場する。
ディフェンディングチャンピオンであるクボタスピアーズ船橋・東京ベイを相手に、東京サンゴリアスの10番を背負う(12月10日)。
帝京大に2年連続の日本一をもたらした昨季は、1月中旬からアーリーエントリー制度で登録された。しかし、最後まで出番は来ず。そんな中で、「(今季の)開幕戦に出たい」気持ちは強まった。
シーズン終了後には主戦のSOだったアーロン・クルーデン(元NZ代表)が退団。まもなく、ウエールズ代表のSOで先のW杯にも出場したガレス・アンスコムの加入が発表された。
それでも、「アンスコム選手がいるからどうこうするということはない」と動じなかった。あくまでベクトルは自分に向けた。
「プレシーズンで意識したのは、自分自身ができることを100㌫やるということ。それで開幕10番が獲れなければそれまでで、仕方がない(と割り切る)。また頑張ればいいだけです」
結果的に、アンスコムはW杯で負ったケガで現在も離脱している。高本は開幕戦に向け、「覚悟はできている」と語気を強めた。
「出るからには結果を出したい。自分自身もそうですし、チームとしても開幕戦の勝利は大事になる」
高本を9番で支える、8学年上の流大は言った。
「皆さんが思われている通り、すごく才能のある選手です。ただ、大学とリーグワンでは強度がまるで違うので、そこのプレッシャーに慣れるのに時間がかかったみたい。けど最近は、そこもうまく対応しながら成長できてると思います」
もっとも、高本の口からは「まだ落ち着きがない」と自身を評する。
「大学では強いFWがガンガン前に出てくれたので、自分がボールを受けるときにはプレッシャーがない状態だった。でもリーグワンでは相手もFWが強くて簡単には前に出られない。そのときに10番がいかにゲームをコントロールするかが大事になる。もっと落ち着いてプレーしたいですが、そこが(サンゴリアスに入って)一番成長したところだと思います」
「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」を掲げるサンゴリアスにあって、司令塔にかかる責任は大きい。
自身の役割を、「常にオプションをいっぱい持ちながら、その中で一番良いオプションを選択する。アタックチームなので、ネガティブなゲームコントロールでは良い勢いを与えられない」と自覚する。
要所では得意のランやキックでチームを前に進めたい。
サンゴリアスで開幕戦の先発SOを日本人選手が担うのは、2017-18シーズンの小野晃征(現・アシスタントコーチ)以来となる。
対峙するオレンジの司令塔は、元ワラビーズのバーナード・フォーリーだ。「テレビで見ていた存在。めちゃくちゃ楽しみ」。相手に不足はない。