昨季は開幕から格上に勝利を重ね序盤に好調ぶりを見せた三菱重工相模原ダイナボアーズは、あすリーグワン初戦をホストで迎え、花園近鉄ライナーズと対戦する。
すでに両チーム先発メンバーが発表され、昨季の好守を牽引したFL坂本侑翼、地元・相模原ラグビースクール出身のFB小泉怜史らの名前が並んだ。SOとして背番号10を担うのはイングランド・プレミアシップから移籍のジェームス ・グレイソン。開幕から過去ホストゲーム最多の観客数を目論む「相模原1万人プロジェクト」も進行中だ。
D1で唯一、2023ワールドカップ出場選手がいないチームながら、ダイナボアーズは毅然と開幕に向かっている。試合3日前のメディアの取材に、岩村昂太主将とグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(HC)らが応えた。
昨季は、中盤戦からは厳しい結果が続き10位に終わった。今季のチームの「違い」を語るのは主将のSH岩村だ。
「去年は、昇格1年目のチームでどこにも研究されていない中で序盤に勝利を重ねることができた。ディフェンスはよかった半面、アタックに脅威がなかった。今年はそこにアタックの積み上げができている。攻守とも一貫して戦う。去年のようにはならない自信があります」
チームは昨年と同じく早めのスタートを切り、質と量、ともに昨年以上の鍛錬を重ねてきた。これをベースにアタック面の上積みを作っているのが、新たに就任したアシスタントコーチのジョー・マドックだ。
プレシーズンマッチは苦しい試合も多かったが、ディレーニーHCは悲観していない。
「新しいコーチが新しいアタックを注入してくれて、そのディテールが明確になっている。選手がそれを覚えるのに少し時間がかかった。まだ完璧ではないが、いい状態で開幕を迎えられている」
SOにシーズン前合流となったグレイソンはプレミアのノーサンプトから獲得した25歳。U20イングランド代表などの経歴がある。
「SOにはマット・トゥームア(オーストラリア代表59キャップ)もいるが、あと一人欲しいとオファーした。ケガ人が出た場合への備えとして人数がいた方がいいこともあるが、競争も大事な要素。競い合う状況によって選手たちが互いにレベルアップしてくれたらいい」
リーグワンD1で唯一、直近のワールドカップ出場選手がいないことについては、笑みを浮かべた。
「私たちは、私たちのチームのやり方でプレーをする」(ディレーニーHC)
「やり方を磨き上げ、基礎基本の力を高める準備をしてきた。自分たちのラグビー、私たちのやり方でぶつかっていく。もちろん、リーグとしてスターがたくさんいることはポジティブな要素。そこに対してチームとして戦うことを楽しみにしているところ」
「フランカーの坂本侑翼を見てほしい。昨年活躍し、オフにはバーバリアンズにも選ばれて、次のステップにいける力を見せてくれた。今年もそうあってほしいが。チームには過去に代表だった選手もいるし、若い選手には、これからそうなる選手たちが何人かいる。それが誰か? 彼らのプレッシャーになるので名前は挙げないでおくよ。とにかく、今、代表選手がチームがいないことについては何も心配していない」(ディレーニーHC)
チームは、開幕戦のホスト試合を1万人の観客で埋めるプロジェクトを立ち上げた。岩村主将はそれを意気に感じ、腕を撫している。
「スタッフはプランを練ってたくさん集客をしてくれる。僕らは集まってくれたお客さんに『心燃える』気持ちになってもらいたい。そのためにもしっかりと自分たちのすべきことをやります。敵は自分の中にいる、と思う。集中して、80分が終わった時にはスコアでうちが相手を上回っている、そんな日にしたい」(岩村主将)
準備は整った。相模原ギオンスタジアムでの昨季最多観客数は7089人。記録を塗り替えるギオン1万人の新しい景色の中で、ダイナボアーズが新しい姿を見せる。
ダイナボアーズ 開幕戦特設サイト(外部サイト)
https://dynaboars.jp/2023-2024/231209/