新しいステージに踏み出すと決めた人の表情は清々しい。
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の堀江翔太が、今週末に開幕するリーグワンでのプレーを最後に引退すると発表した。
12月6日、記者会見を開いた。
体やメンタルの疲弊が引退の理由ではない。信頼する佐藤義人トレーナーとともに歩んできた中で、正しい体の使い方や動き方を理解し、実践できたら、パフォーマンスは向上し、長くプレーできる。痛みも伴わなくなる。
若い人たちがそれを知ったら、いいパフォーマンスが発揮できるし、いいアスリートが多く誕生するだろう。
「それを広めていくことをやっていきたい」
S&Cコーチなど、効果的なトレーニングを広める指導者となることを目指す。
同選手は37歳。4回目の出場となった先のワールドカップ(以下、W杯)でも全4試合に出場した。
10歳の時に吹田ラグビースクールに入り、島本高校、帝京大とプレーを続け、大学卒業後は三洋電機(現埼玉WK)に加入した。
学生時代まではバックローも、HOに転向。ニュージーランド(以下、WK)のカンタベリー州代表のアカデミーにも所属して成長し、2009年11月のカナダ戦で初キャップを獲得。
先のワールドカップまでに76キャップを積み重ねた。
2011年に初めてのW杯を経験。NZ国内州対抗選手権のオタゴ代表でもプレーし(2012年)、スーパーラグビーのレベルズでも活躍(2013年、2014年)。
ワールドクラスの2番へと進化していった。
今回の決断は、約1年半前。2023年W杯の結果にかかわらず、リーグワン2023-24を最後のプレー機会にすると決めた。
「妻にはその時に気持ちを伝えました。子どもたちには、昨日(会見前日)です。学校ですぐに広まるので」と笑わせた。
残り半年のプレー期間があるが、記憶に残っている試合には、2019年W杯で勝利を挙げたアイルランド戦をあげた。
その試合に懸ける気持ちが大きかったからだ。
ラストシーズンへ向けて、「チームの優勝を目指し、自分も成長していくモチベーションは何も変わらない」とした。
ラグビーは趣味。
シンプルにそう言い切る表情も自然で、最後まで引退会見特有の湿っぽさはなし。
引退表明会見をこのタイミングにしたことは、「応援してくれているファンの方に最後の堀江を見ていただきたい。引退するなら、あのときに見にいっておけばよかった、とならないように」と笑顔だった。