「世界最高のウイング」と称される172センチ、80キロのチェスリン・コルビ。南アフリカ代表のワールドカップ連覇に貢献した後、2023−24シーズンの東京サントリーサンゴリアスに加入した。
リーグワン開幕を翌週に控えた12月2日、浦安D-Rocksとのプレシーズンマッチで加入後初実戦を飾った。先発フルバックとしてプレーした。
初実戦の舞台となったD-Rocksの拠点、浦安Dパークは、自由席の仮設スタンドを含めてチケット完売。ファンは快晴の下、好勝負を堪能した。
コルビのボールキャリーは前半6分。
変則的なムーブから、残像を残すステップを繰り出す。倒れてもワンアクションで終わらず、地を這うように前へと進んだ。
キック処理では届きそうにない位置へと急加速し、見事に捕球。正確なパスで突破をアシストするチームプレーも光った。
この日の両軍のスタメンは、ともに定位置確保にチャレンジするメンバーが中心。
試合は前半、FW戦で優位に立ったサンゴリアスが19−7でリード。D-Rocksも随所で粘り、CTB本郷泰司はレンジの広いタックルでコルビを止めるなど見せ場を作った。
後半はブレイクダウンで優勢のサンゴリアスが、自陣からのターンオーバーで河瀬諒介が独走トライ。26点差(33−7)までリードを広げた。
D-Rocksは4連続トライで2点差まで追い上げたが、最後はサンゴリアスのトニー・アロフィポがインターセプトで6本目を奪った。
今季最後のプレシーズンマッチを40−31で勝利したサンゴリアス。指揮2季目の田中澄憲監督は、コルビについて問われると、感嘆をまじえながら語った。
「読む力、ディフェンスで上がるタイミング・・・。やはり細かいところが一流ですよね。(難しいキック処理について)あれをキャッチできるのは凄い。普通はできないですよ」
「(身体は)小さいですが、そういう選手が世界のトップでやっている。選手はみんな言っていましたが、言い訳できないですよね。選手にとっても、『希望』というか『夢』というか——あらためて自分次第なんだなと思っています」
この試合は背番号15を背負ったコルビだが、チーム状況次第でポジションは変わりそうだという。果たしてコルビのリーグワンデビューはいつか。今季は『希望』や『夢』を感じられるプレーを、たくさん目撃したい。