「今年やったことだけでなく、これまでやってきたことを発揮してくれたと思う。合同チームだけに、みんなが力を合わせて戦ってくれたことがうれしい」(秋田・安藤陽 部長)
12月3日、江戸川区臨海球技場(東京都)で第43回東日本中学校大会の決勝がおこなわれた。3校合同チームである男鹿東、男鹿南、天王南中(秋田県=以下 秋田県合同)が、関東学院六浦中(神奈川県=以下 六浦)を17-10で破って初優勝を遂げた。同日の3位決定戦では、茗溪学園(茨城県)が45-7で明大中野中(東京都)を破った。
雪に覆われる季節にも、ボールを動かし走るラグビーを諦めずに追求してきた。
「3校合わせて33人の選手が、一つのラグビーをしてくれました」
秋田県合同の佐藤琢眞監督が、優勝を決めた選手たちの姿に感極まる。
秋田県合同は、前日の12月2日の準決勝で茗溪学園を破って決勝へ。互いに決勝に初めての決勝となった六浦と激突し、前半に奪った2トライ2ゴールと一つのPGを守って初優勝を決めた。後半は、加速する六浦に10分にトライを許し秋田17-10六浦と7点差に迫られるが(20分ハーフ)、ここから相手のアタックを凌ぎ、一時は攻勢に転じて勝ち切った。
秋田県合同は秋田市の東、男鹿半島の2校と潟上市の天王南中が合同するチームで、複数年、コンビネーションを培ってきた。中学生年代のラグビー、今後の競技の潮流を考えたプレースタイルに臆せずチャレンジ。この日も、CTBコンビの佐々木智賢、安藤晴琉を筆頭に、確かなキャッチングをベースにしたボールの動きを披露した。「走るのが好き」と言わんばかりの全員のラン、そして東北チームらしい体格の大きな選手たちも目を引いた。
長く合同チームに関わってきた安藤部長が目を細めるのはディフェンスだ。
「一つの守り方だけではなく、これまで取り組んできた守り方を、選手たちが使い分けてくれていた。アタックでも、普段から目立つ選手だけでなくて、彼らがマークされた時に他の選手が活躍してくれたのが勝利につながりました」(安藤部長)
秋田県勢の優勝は、2015年度の第35回、将軍野中以来、8年ぶりだった。
初めての決勝を堂々戦った六浦中も立派なファイナリストになった。後半に勢いを増したアタックはこれまでも試合を決めてきた強みの要素。一歩届かずも、また歴史を一歩前に進めた。これまでの最高戦績だった準決勝は、2014年度に桐蔭学園と17-17で引き分けた試合以来(抽選で決勝進出ならず)だった。初めての決勝で大きな財産を掴み取った。