43-7と68-10。
12月2日に熊谷ラグビー場でおこなわれた関東大学対抗戦Aの2試合は、ともに大差がついた。
しかし、レギュラーシーズンのラストゲームにかける各チームの思いは強く、点差に関係なく熱かった。
第1試合では、開幕から6戦勝利のなかった成蹊大と青山学院大が戦った。
それぞれ、ここまでの勝ち点は1と0。勝った方が7位、負けた方が8位(最下位)となる一戦だった。
合計7トライを奪い、快勝した青山学院大は、セットプレーで勝利を引き寄せた。
特にスクラムでは毎回のように押し込み、相手の反則を誘った。
開始7分に奪った先制トライは、この日の青山学院大のスタイルを象徴していた。
ラインアウトからボールを大きく動かし、成蹊大のディフェンスを振り回した。
10フェーズ近くアタックを継続し、最後はWTB吉田将太がインゴール右に飛び込む。
前半だけで4トライ、22点を奪い勝負を決めた。
この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたのはSO河村凌馬。鋭い仕掛けでよく前に出てチャンスメイク。チームにモメンタムを与えた。
これまでCTBでの出場が多く、桑田敬士郎主将とコンビを組んでいた。
桑田主将は河村の活躍について、「夏合宿まで10番をしていて、CTBでもゲームコントロールの役を担っていたので、きょうもその働きをやってくれた」と評価した。
「チームはこれまで、(やろうとしている攻撃の)形を気にしすぎて、空いているスペースにボールを運べていませんでした。でも今日は、一つひとつのフェーズでスペースにボールを運び、少しでも前へ出る判断ができた」
桑田主将は対抗戦Bの2位、明治学院大との入替戦に向け、「次の試合でも圧倒できるように準備したい」と話した。
12月16日の決戦の日まで、成長をし続ける。
敗れた成蹊大は、得意とする、ディフェンスから攻撃に転じる機会を作ることができなかった。
青山学院大の積極的なアタックに受け身に回ってしまい、長く守勢に回ってしまった。
それでもCTB髙島大聖主将は、後半21分にトライを返すなど、終盤まで諦めずに攻め続けた姿勢を前向きに捉えた。
「他の試合でも同じような展開がありました。全員が攻める、となったときは、いい形でやれる。その展開を入替戦では最初から出したい」
対抗戦Bで1位となった日体大戦まで2週間。
この日うまくいかなかったディフェンスのコネクションを再整備し、本来の粘り強さを取り戻すつもりだ。
第2試合では、立教大の戦いが注目された。
今季は青山学院大、成蹊大に勝利し、慶大にも21-28と健闘。この日の筑波大戦に勝ち点5を獲得して勝てば、大学選手権へ出場できる可能性が残っていた。
結論から言えば、立教大は前半だけで5トライを許し、35失点。後半に2トライを返すも、完敗だった。
筑波大のブレイクダウンの激しさと、好機を得た時のスピードについていくことができなかった。
それでもスタジアムに足を運んだ人たちは、濃紺のジャージーが積み上げてきたものを何度も目にした。
水色のジャージーを押し込んだスクラム。軽快なパスワークで、筑波大陣へ攻め込むことも少なくなかった。
チームを牽引した北川時来主将(SH)は試合後、「ここまで頑張ってきて、やり残したことはない」と涙ながらに話し、チームがどういう道を歩んできたかを伝えた。
入学時から同期と、自分たちが4年生になったときに迎える100周年の年に飛躍しようと声をかけあってきた。
オフ・ザ・フィールドの規律を高めることから始めた結果が、やがて試合に反映されるようになる。今季は、本気で上位に挑めるチームになった。
「100周年の年に選手権には届きませんでしたが、来年以降、後輩たちが新しい100年を築いていってくれると思います」
筑波大はこの日の完勝が、2週間あった準備期間をうまく過ごせたからだけではない、とした。
10月15日の帝京大戦で0-73と大敗した。
そこから変わった。
ディシプリンの乱れや自陣で戦った時間帯への反省は残ったものの、嶋﨑達也監督は、「Bチームも含め、チーム全体で取り組んできたことがきょうの試合の中でいくつも見られた」と選手たちのパフォーマンスを評価した。
谷山隼大主将(NO8)も、「帝京大に接点で負けてからやり直した」と話した。
「接点でより激しくいくために、早くセットすることを意識しました。アタックでもディフェンスでも、たくさん動く。それまでやってきたことや意識を、さらにグレードアップさせるため、練習時からターゲットを数値化して取り組みました」
妥協なき姿勢が、シーズン終盤でのチーム力の上昇を呼んでいる。
全国大学選手権に向けて、その歩調をさらに高めるつもりだ。