2023ムロオ関西大学ラグビーAリーグは12月2日、花園ラグビー場で最終節(第7節)がおこなわれた。
第1グラウンドでの第2試合は、昨季1位、2位の全勝対決。
京産大がロスタイムに逆転して、23-22で天理大を破った。同校初の3連覇を成した。
「最終戦にふさわしい戦いになりました」
廣瀬佳司監督が笑顔で振り返る。両者互角の試合を、劇的な展開で制した。
両チーム敵陣深くまで入りながら、ともに粘り強いディフェンスにあい、簡単にはスコアできず。そんな中、前半にリードを奪ったのは天理大だった。
試合開始のキックオフの落球で招いたピンチを、相手のラインアウトミスとFB上ノ坊駿介のランで脱すると、まもなくNO8パトリック・ヴァカタがゴール前へ。しかし、最後はノックオンに終わる。
今度は京産大がハイパントを軸にエリアを進め、ゴール前でチャンスを作る。ここでは天理大CTBマナセ・ハビリが活躍。ジャッカルでチームを救った。
先制トライが生まれたのは18分だ。
敵陣深くまで攻め込み、一度はFL三木皓正のジャッカルに阻まれるが、再度手にした敵陣でのアタックからFB上ノ坊が突破、そのままインゴールに入った。
直後に京産大がPGを決めて3-7としてからは、互いに好守が光る。京産大のLOソロモネ・フナキ、天理大のCTB上野颯汰がタックルで相手の落球を誘った。
ようやくスコアが動いたのは前半終了間際。天理大がスクラムでペナルティを奪い、ラインアウトモールでトライを挙げた。
12-3と天理大リードで前半を折り返したが、後半の立ち上がりは京産大がスコアを重ねた。
スクラムを起点に好機を生み出し、最後はNO8シオネ・ポルテレが押し込む(3分)。
4点差として迎えた9分には、SH土永旭の好キックで敵陣に入ると、相手のゴールラインドロップアウトからボールを受けたNO8ポルテレが何人も突き飛ばして爆走。
まもなくWTB西浩斗がトライを挙げた(ノックオンに思われたが、タッチジャッジとの確認後トライに)。13-12と逆転する。
しかしラインアウトでミスを重ね、天理大SO筒口允之のキックにも翻弄された京産大のリードは続かない。
天理大の反撃は26分。またもスクラムで反則を誘い、ゴール前でのラインアウトから最後はCTBハビリがトライ。36分のPGで22-13と、終盤にリードを広げた。
しかし、ドラマはここからだった。
京産大は直後のセンタースクラムで反則を奪うと、FB辻野隼大が50㍍PGを沈める。1トライ1ゴールで逆転できる6点差として、「ロスタイムは2分」のアナウンスを聞く。
決死の覚悟で自陣からアタックを展開する京産大に対して、天理大は我慢しきれなかった。反則を重ね、京産大に22㍍ライン内への侵入を許す。
京産大は、一度はモールでのグラウンディングを防がれたが、ゴールラインドロップアウトで再開されたアタックでCTB高井良成がブレイク。最後は途中交代のPR川口新太がインゴールに入った。
FB辻野のゴールも決まり、劇的な逆転勝利を飾った。
涙の三木主将は、場内インタビューで「最高です」。
「今シーズンはとても苦しく、自分がキャプテンであることが正しいかどうか悩んだ時もあった。こうして勝てて、目標の日本一はまだですが、それを証明できたことを嬉しく思う」と続けた。
敗れた小松節夫監督は「関西リーグの最終戦で、前年の1位と2位が優勝争いをするのは、実はあまりない。まずはこういう雰囲気で試合ができたのを嬉しく思います。負けた悔しさはありますが、これが最後(の試合)ではない。(選手権を終えた後)この負けがあったから、と言えるようにしようと(選手に)話しました」。
大学選手権に関西2位から挑む天理大は、12月17日にヨドコウ桜スタジアムで慶大と対戦する。1位の京産大は準々決勝から登場、12月23日に対抗戦3位×リーグ戦3位の勝者とヨドコウでぶつかる。
また、同日同会場では3試合がおこなわれ、関西大はロスタイムに追いついて26-26で摂南大と引き分け。2年ぶりに入替戦を回避した。
立命館大も開幕節以来の勝利で入替戦を脱した。近大を31-27で破った。
同志社大は関西学院大に7-48で敗れ全敗のまま、7位の摂南大と入替戦に進む。
入替戦は12月9日、天理親里球技場で争われる。同志社大は大体大(B1位)、摂南大は龍谷大(B2位)と対戦する。
【最終順位】
1位 京都産業大(36点)7勝0敗
2位 天理大(30点)6勝1敗
3位 関西学院大(22点)5勝2敗
4位 近畿大(13点)3勝4敗
5位 立命館大(12点)2勝5敗
6位 関西大(11点)2勝4敗1分
7位 摂南大(10点)2勝4敗1分
8位 同志社大(2点)0勝7敗