ラグビーリパブリック

「よく頑張った、では終わらない」。「ケンタッキーを食べて」。覚悟とユーモア満載。横浜キヤノンイーグルス出陣式

2023.12.01

W杯優勝のファフ・デクラーク(左)とジェシー・クリエル(右)は、横浜市スポーツ栄誉賞も受賞した。(撮影/松本かおり)



 昨季のリーグワンでクラブ史上最高位の3位となったイーグルスの赤いジャージーを着ているファンがいた。今秋おこなわれたワールドカップで連覇を成し遂げた南アフリカのグリーンのジャージー姿も。

 横浜市役所のパブリックスペース、アトリウムには、多くのファンが集まった。
 11月30日の午後、横浜キヤノンイーグルスの2023-24シーズン『出陣式』がおこなわれた。

 会の冒頭にファンの大きな拍手を浴びたのは、沢木敬介監督だ。
「今年の我々の目標は(3位だった)昨シーズンの上に行くことです。まず決勝の舞台に立って、優勝を狙えるチャンスをつかみとります」
「ファンの皆さんも一緒につかみとりましょう」と締め括ると、会場が沸いた。

 出陣式に参加したのは監督の他に、梶村祐介主将(CTB)、田村優(SO)、小倉順平(SO/FB)、シオネ・ハラシリ(NO8/PR)と、ファフ・デクラーク(SH)、ジェシー・クリエル(CTB)の6選手。
 それぞれが自分の言葉でシーズンに挑む決意を表現し、ユーモアたっぷりにファンからの質問に答えた。

「自分たちの強みはボールを持つこと。そのために(ボールを取り返すための)ディフェンスを強化してきました」と話したのは梶村主将だ。
「赤いジャージーでスタジアムへ」とファンへ呼びかけた。

それぞれが魅力的な発言。あらためてファンの心をつかんだ。(撮影/松本かおり)

 田村は、いつもクールに、熱い胸の内を語る。
 この日は、「会場に来てください。そこで熱を帯びる試合をするのが僕らの仕事」と言った。

 ファンから「どうしたら優勝できますか」と問われると、「チャンスは無限にあると思っているし、できると思っています。ただ、どのチームも目指しているもの。苦しい時間がくる。そんなときに一丸となって戦う」と答えた。
「よく頑張ったね、で終わらないようなシーズンにします」

 W杯に日本代表として参加も出場機会のなかった小倉は、その期間にも成長してイーグルスに戻ってきた。
「(日本代表での活動を通して)周りに何をやってほしいか要求することが大事と、あらためて分かりました」
 これまで以上に、ピッチ上でのコミュニケーションを密にする意向を伝えた。

 ファンからの質問に珍回答をしたのは、パワー自慢のハラシリだ。
「どうしたら大きくなれますか」との問いかけに、「ケンタッキー(フライドチキン)を食べてください」。

「どれくらいご飯を食べられますか」には、「お腹いっぱいになるまで食べ続けられます」。たくましい体になりたいという女性ファンには、「ケンタッキーを食べてください。そしてスクワットを」とアドバイスした。

 デクラークとクリエルの世界一コンビは、何度も会場を沸かせた。
「どこに勝ちたいか」と問われたデクラークは、「昨季は、パナソニック(ワイルドナイツ)に勝てそうなところまでいったのに負けた。今季はチームとして勝ち、自信をつけたい」とした。

 ファンは、よく見ている。「リーグワンではスクラムへの投入前にボールをクルクル回すことがよくあるが、W杯の決勝では、そんなことはしていなかった。リーグワンの方が余裕がある?」と指摘した。
 デクラークは、「(W杯決勝では)雨が降っていてボールが滑り、回せなかったんだ」とスマートに答えた。

 強固なディフェンスで南アフリカの優勝に貢献したクリエルは、あらためて「誰よりもハードワークする」と誓った。
「キャプテンのカジは誰よりも体を張り、チームをひっぱる男。私は、そんなリーダーについていきます」

 12月10日の開幕戦で戦うワイルドナイツには、W杯でコンビを組んだダミアン・デアレンデもいる。
 仲がいいだけに負けたくない、と必勝の覚悟を口にした。

Exit mobile version