インジャリータイムに入った後半47分、早大NO8松沼寛治のインゴール右隅へのトライ。
スコアは43-19と開いた。
11月23日、国立競技場でおこなわれた関東大学対抗戦の早大×慶大は赤黒のジャージーが快勝。100回目の早慶戦で早大が73勝目を挙げた(7分け20敗)。
2万7609人のファンの前で好スタートを切ったのは早大だった。
前半4分、WTB矢崎由高の好パスからLO池本大喜が走る。サポートしていたSH島本陽太にパスは渡り、背番号9がインゴールに入った。
10分にはラインアウト後のモールを一気に押し切り、FL安恒直人がインゴールにボールを置く。
20分のチーム3つ目のトライは、スクラムでのプッシュから。FB伊藤大祐(示に右)主将がトライラインを越えた。
いずれもコンバージョンキックが決まり、21-0と大きくリードした。
スタートを切った1月から、この一戦に勝つことをターゲットに定めてきた慶大は、先行を許しても気持ちは折れなかった。
23分、SO山田響がキックを巧みに使い、1トライを返す。34分にはFWが早大ゴール前で粘り、HO中山大暉がインゴールへ(いずれもコンはバージョンキック成功で14得点)。
前半は、ハーフフタイム直前にモールからのトライを追加した早大が28-14としてリードして終えた。
ともにほしかった後半最初の得点を手にしたのは早大だった。
3分、相手キックを自陣22メートルライン内でFB伊藤主将が「マーク」の声とともにキャッチ(フェアーキャッチ)。
直後のFKから仕掛け、HO佐藤健次にパスを放った。
ディフェンダーを抜いて前へ出る背番号2。その後方からWTB矢崎が急加速で駆け上がる。
ラストパスを受けた背番号11が走り切り、効果的な5点を追加した(コンバージョンキックも成功し35-14)。
その後、早大はPGとトライを加えて43得点。慶大は1トライを返したものの19得点に終わる。
モスト・インプレッシブ・プレーヤーに選ばれた慶大SO山田は、受賞の挨拶をする際に泣いた。
スコアは開いたものの、互いに気持ちを熱くして戦った80分だった。
早大の大田尾竜彦監督は、伝統の一戦の、さらに節目となる日を迎えるにあたり、伊藤主将にこう話して選手たちを送り出したという。
「歴史を振り返ったときに、先輩たちが築いてきた財産がある。そのOBの方々が(試合を)見たときに、『これは早稲田らしいよね』と思うプレーをする責任がある」
後半最初のトライからは、仕掛ける姿勢と、呼応し合うコミュニケーションが感じられた。
12月3日には、同じ場所で早明戦を戦う。
慶大の青貫浩之監督は、「この日に向けてすべての面を伸ばすような日々を過ごしてきた」と話した。
しかし完敗の結果に、「私の見積もりが甘かった」と声を絞り出した。